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コラム

「最小不幸社会」

 みのもんたは化け物。朝昼晩テレビに出ずっぱり。なかでも、6チャンの朝ズバッ!は5時半から3時間番組。ついつい、チャンネルを捻る。先日は、民主党の代表選前とあって、小沢さんと、菅さんが生出演(結局は、小沢さんが代表になったが)。両氏が抱負を述べるなかで、菅さんの2点が、これからの日本の行く末、あり方を透視しているように思えた。
 菅さんは、小泉改革を「弱肉強食社会」と批判し、不幸になる人をできるだけ少なくするのが政治の責任といい、それを「最小不幸社会」といっている。もう一つは、農業の捉え方の点。「農山村の再生なくして日本の再生はない」「農業は産業というだけでなく、国のあり方を原理づけるものだ」と。これも他産業と同じように農業にも構造改革を迫る、あるいは「攻めの農政」とかで、農畜産物の海外輸出で活路を見出そうとする「小泉農政」とは大違い。
 小泉政権のここ5年、今問題になっている「ライブドア事件」「耐震強度偽装事件」「米国産輸入牛肉の安全問題」「官製談合事件」は、小泉改革の規制緩和や、構造改革がもたらした結果。また、「格差は生じていない」は、青テントや交通事故よりも多い自殺者数など、どこをみて言っているのやらと思いたくもなる。菅さんのいう、「最小不幸社会」をつくらなければ、この国は昔、ある首相がいった「貧乏人は麦飯を食え」の社会になってしまいかねない。
 そして何より、農業の捉え方、視線も菅さんが正解と思う。何かの本で「アメリカには農民はいない、農業という産業はあるが」とあった。米国産輸入牛肉の安全問題で、アメリカの高官が「自動車の欠陥車を1万台のうちから1台みつける確率」、と宣ったが、人間と車を同レベルで論じる国に追随する必要は微塵もない。農業、ことに日本の農業は単なる産業ではなく、人の生命を育み、自然環境を守り、何より「美しい国」を維持する偉大な装置。とりわけ、水田は、先人が営々と築いたかけがえのない日本人の公共的財産。
 そんな中、小泉改革の総仕上げ(?)今国会で品目横断的経営安定対策(日本型直接支払い)の関連法案が審議に入った。民主党も対案を出しているが、数の論理から言えばどうにもなるまい。日本人の昔からお上に弱い体質は変わらないようだ。これでは「最小不幸社会」どころか「最大不幸社会」を招きそう。フランスじゃないが、ここは一つデモでも…。(だだっ児)

(2006.4.20)

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