ラブ・ミー・テンダー
いよいよ7月を迎えた。1年の折り返し点だが、その前の6月は散々。ヨーロッパではこの月をジューン・ブライド・「6月の花嫁」といい、何となく幸せな気分を感じさせるが、この国の6月は梅雨空と同じ、うっとうしい毎日の連続。
その第一は「どこまで負け続けるの巨人」。サッカーW杯のジーコジャパン1次リーグ敗退は想定内だが、プロ野球巨人の負け続けは想定外。はじめこそロケットダッシュに成功したが、交流戦がはじまってから急に失速。6月の戦績は6勝19敗。それも8連敗、10連敗と続き、毎日負けているいるようなもの。朝刊のスポーツ欄をみるのも苦痛なくらい。
もう一つ6月でむかついたのは、日銀福井総裁の村上ファンドへの出資問題。何しろ1千万円の投資が2.5倍の利益を得るぼろ儲け。国民にゼロ金利を強いながら国の金庫番がこれでは示しがつかない。また、ある大手銀行の収益が1兆何千億円とか。同じ利益を上げるトヨタは、少なくとも車をつくるが、銀行はなにをつくる? たとえばJA全農の米穀事業の取扱実績が1兆円強。これは利益じゃなく、農家が一生懸命つくって売った米や麦の販売代金。こんなヘンな世の中じゃ日銀総裁といえどもマネーゲームに走るわけ……
おまけに、福井総裁の「志です!激励です!投資です!」は、自民党の武部幹事長が総選挙でホリエモンを「わたしの息子です!弟です!」と持ち上げた構図と同じ。もっと、気にくわないのは、村上ファンドの教育係りといわれるオリックスの宮内義彦会長という御仁。この方は小泉首相の諮問機関である規制改革・民間開放推進会議の座長役。農業への株式会社の参入やら総合農協から信用、共済を分離しろなど、小泉首相のお先棒を担ぎ、「規制改革を推進して規制緩和でもうけようとする」実に品格に欠けた男と聞く。
あげくの果ては、小泉首相の訪米。通常国会のどんづまりに“担い手新法”をごり押し、米国産牛肉の輸入再々開を手土産にアメリカに卒業旅行ときた。ブッシュ大統領の専用機でエルヴィス・プレスリーの旧邸宅を訪れ、「ラブ・ミー・テンダー」を唄い、「夢が実現した」と大はしゃぎ。おいおい小泉さん、国民に散々痛みを押し付けておいて、ラブ・ミー・テンダーはないだろう。奇人や変人首相はもうコリゴリ。誰かふつうの人はいないの?(だだっ児)