農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム 落ち穂

JAにいがた南蒲・未来への挑戦

 NHKテレビの日曜大河ドラマ「功名が辻」に触発され、「翔ぶが如く」を再読した。全10巻、ようやく読み終えたが、司馬遼太郎の「書きおえて」を読んで著者がこの小説を書いた動機がわかった。著者は、「日本の統治機構は政府かそれとも「官」か」をずっと考えてきて、その濃度が濃くなったときに、これを書く気になったとある。また、中央官庁につとめる友人に「日本の政府は太政官から本質は少しも変わっていない」と、言わせている。
 「翔ぶが如く」は、今から30数年前、新聞小説として4年半かけて書かれているが、たしかに、この小説が書かれるまでも、それからもこの国は「太政官」、いや「官」の体質は変わっていないように思う。先に「担い手新法」が成立したが、これも農業界側から出た施策ではなく、官の敷いたレールに無理やり乗せられた感がしてならない。また、日本農業の歴史的大転換を意味するこの法律の成立に関する新聞報道をみると、朝日も日経も毎日にもただの1行も載っていない(筆者の見落とし?)のは摩訶不思議。これも官の仕業?
 さらには、なぜ、農業をやる人を「認定農家」と「それ以外」に分け、また、集落営農のシステムに乗らないと、経営補てんを得られない仕組みにする必要があるのだろうか。今さら何をいってもせん無いが、この国のお役人は、下々の生活はさて置き、明治維新でつくった「お上」、「官僚制度」をひたすら守り、自己保身に汲々のような気がしてならない。
 さて、さて、こんな繰言を言っていてもはじまらない。然らば、この国の農業をどうするのか…、今のやり方、「コメの消費量が減るから、農家を絞る、コメの生産量を減らす」は誰でもできる。打開策は「水田を水田として活かす」こと。その一つが、本紙6月30日号に載っていた「コメ原料のバイオエタノール製造」の取り組みだ。数年前、本紙の取材で、バイオマスに取り組むJAにいがた南蒲の小川正範組合長にお会いしたことがある。そのときすでに、組合長はこの構想を口にされていた。「先見の明あり」とは、まさにこのこと。
 コメ原料のバイオエタノール車が「翔ぶが如く」走ったとき、日本農業の再生がなる日! また、この取り組みを「環境保全への取り組み」を掲げる全農がバックアップするという、これまた「安心」!(だだっ児)

(2006.7.21)

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