農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム 落ち穂
'しょうがない国と人'

 「20℃を超える冬 3月に散る桜 5月の猛暑日」、「地球に、温暖化という最大の危機が迫っている」。これは鉄道貨物輸送がCO2を削減し、温暖化防止に貢献するという、JR貨物の新聞広告の一部。先日、四国香川に行ったが、いつも6月中旬に行われる満濃池のゆる抜きも、今年は水量が少なく迫力がなかったという。どうも、このままだと、'讃岐日照りに米買うな'どころか、日本列島が干上がってしまうと思いきや、7月に入って漸く梅雨空が戻り一安心。
 自然界が異常なら、この国、日本の政界も波乱つづき。現職大臣の「子供を産む機械」、「なんとか還元水」につづいて、今度は「原爆投下は、しょうがない」発言で、久間防衛相が辞任に追い込まれた。辞任の理由も「しょうがない」は九州人がよく使う言葉だといい、参議院選挙に迷惑をかけるからだという、まったく「しょうがない人」だ。
 任命責任を問われた安倍首相も、先の松岡前農相の問題といい、今度は、防衛庁を省に格上げし、その初代大臣に任命しておきながら、いくつ首があっても足りないとでも思ってか、なんら具体的な責任をとらない。唯一、「けじめをつける」とかで、「宙に浮いた年金問題」で、ボーナスを返上したそうだが、国民にとって年金は老後の生活の支えのため、必死になっているのに、金で片づけては、国民感情を逆なでするだけだろうに..。
 さて、この久間発言。同じ自民党議員が「唯一の被爆国である日本国民として、選ばれた国会議員として万死に値する」と言っていたが、あわせて安倍内閣の歴史認識、哲学を問う大きな問題。安倍首相が憲法改正を目論むなら、それこそ、小泉前首相の「郵政民営化」選挙じゃないが、衆議院を解散して「原爆投下は、しょうがないか、どうか」と、国民に問えばいい。
 とは言え、われわれ一般国民も、戦前、駐日フランス大使で詩人のポール・クローデルが敗戦が濃厚になったときに言ったという「日本人は貧しい。しかし高貴だ。世界でただ一つ生き残って欲しい民族をあげるとしたら、それは日本人だ」は、どこにいったのだろう。さくらんぼが出回れば泥棒が入り、連日、振り込め詐欺とやらが横行し、親が子を、子が親を殺す「しょうがない国」、「しょうがない日本人」になってしまったのではないだろうか。その意味で、安倍首相のいう「美しい国」づくりは、正解なのかもしれないと思ったりする、支離滅裂な人間なのです。(だだっ児)

(2007.7.12)

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