どげんかせんと…
平成の世も今年で20年を迎えた。海の向こうアメリカでは、大統領予備選が盛ん。共和党・ブッシュ政権に愛想がつきたのか、次期大統領は民主党のヒラリーかオバマ候補が濃厚。米国初の女性、黒人大統領かと予備選は熱気につつまれている。でもアメリカは不思議な国だ。レームダック(死に体)のブッシュ政権は任期を1年も残す。平時ならいざしらず、イラク戦争は泥沼、サブプライム問題は底なし、地球温暖化と一刻も猶予できない筈なのに、アメリカ国民は新しい自国、いや世界の舵取り役を1年も待たなければならないとは..
もっと不思議な国はこの国、日本。アメリカと違って、日本は議会制民主主義の国。いつでも国会を解散して総選挙で民意を問い、政権交代も容易にできる国。ガソリンや灯油の価格がどんどん上がり、国民はヒイヒイいっているのをよそに、過去6年間で血税360億円も無駄遣いした、新テロ特措法を「3分の2」の数の力で衆院再可決。一体、この国の政治はどっち向いて仕事をしているのと言いたくもなる。
今、世界は午後11時、瀬戸際の状態にあるそうだ。なぜなら、「食糧が世界のリスク」(ダボス会議の主要なテーマ)になっているからだ。(1)世界人口の増加(2)途上国での肉類の消費増(3)穀物由来のバイオ燃料の普及(4)地球温暖化による農業生産への打撃などなど。なにしろ、隣の国・中国の肉類消費は、1950年では10キロだったのが、今では50キロというから、日本の10倍もの人口を抱える国だけに途方もない胃袋。黄河が枯れ、砂漠化がすすむ中国はどこに食糧を求めるのだろうか。
いや、この国は他人のことを言えたものではない。たったの食糧自給率39%、穀物自給率にいたっては28%、食卓の殆んどを輸入に頼る国なのに、何ら危機感が伝わらない。昨年末、米価低落に端を発して、補正予算などで1111億円の予算がついたが、所詮、応急処置。見返りに、今年は生産調整100%完遂という重い課題を背負う。いつまで経っても、減り続ける需要を睨んでの縮小再生産では、この国の農業は展望が開けないように思う。
世界を見渡しても、日本は森林に囲まれ、水が豊富にあり、田んぼで主食であるコメを余るほど生産できる幸せな国。水田は賞味期限も、消費期限切れもなく、主食、飼料、バイオ燃料を永遠に生産できるこの国の宝。誰かのセリフじゃないが、為政者も官僚も「どげんかせんと」、この国はつぶれる。(駄々っ子)