農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
ジーコスタイル

 「五月晴れどこへ」と新聞にあったが、もう梅雨入り? と思われる天候がつづく。天気が悪いと新入社員の「5月病」じゃないが、暇をもてあそぶ定年退職の身にも、何やら憂鬱な毎日。ただ、我が家の家庭菜園は水遣りの心配がなく、すこぶる順調。トマト、なす、キューリ、枝豆も植え終わった。
 隣の主は、畑全部が枝豆。さぞかし、ビールが好きな御仁なのだろう。なにせ、畑の蛋白質といわれる枝豆の採れたての美味さは最高。そしてビールとの相性は抜群。前置きが長くなったが、ビールの本場、ドイツでサッカーのワールドカップ(W杯)が開かれる。日本代表23人が決定した。彼らを「青いサムライ」とか「23人のサムライ」とスポーツ紙が伝える。
 なぜ、サムライなのか?彼らにいまどきの若い者にみられない(年寄りの口癖)激しさと一生懸命さをみるせいかもしれない。先日、スポーツジャーナリストの二宮清純氏がテレビで日本サッカーに辛口の批評をしていた。彼に言わせれば、日本のサッカーがパス回しが多いのは、会社で稟議書をぐるぐる回しているのと同じで、問題先送りで決断力がない証拠。FWの決定力不足は、こんな日本の会社組織と同じ、と手厳しい。
 ジーコ監督は、「DFや中盤の選手は練習で作りだせるがFWは練習で作れない」と言っている。たしかにブラジルのロナウドのような強靭な肉体で、動物的な感覚をもつ、傑出したプレーヤーは日本人選手にはまず出ないだろう。そこでジーコ監督は、日本人の個性といわれる組織プレーに加え、選手一人ひとりの「自由な判断」を重視する、すなわち「組織と個」のバランスが日本サッカーの進歩につながるとみていると、某新聞にあったが然り。
 日本の会社組織は、二宮清純氏が言うように、サッカーと同じように決定力不足、パス回しが多く組織決定までに時間がかかる。JAグループも旧来の日本サッカーの「組織」重視型。全農もFWの事業部隊よりもDF重視で組織プレーに徹した旧来のスタイルを抜け出ていないような気がする。ジーコ監督の戦術は「ジーコスタイル」といわれているが、どんな組織も組織と個人の力のバランスをよく考えないとその発展はないように思う。
 言うは易し行うは難し。ヤンキースの松井選手が大怪我をし大リーグもつまらない。ここは一つ枝豆をつまみ、ビールでドイツ大会テレビ観戦と洒落ようか。枝豆よ早く大きくなれ。                               (だだっ児)

(2006.5.31)

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