JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします

コラム ―― 農民は考える
公益事業と公共事業

 水道水からダイオキシン等の化学物質が検出され、米からもダイオキシンが検出された。「岩手県の米からダイオキシンが検出されたが、その値は、国の基準値を下回っているので安全です」と、非科学的なことを、NHKは平気で放送する。
 厚生省は「基準値以下ならダイオキシンを食べても安全です」と言っているのであろうか。「基準値以下でも、有害であることが、今は証明されていません」といっているのではないのか。
 最近、「プールに1滴」のような、今の技術では検出するのがやっとという濃度でも有害であるという研究結果が次々と発表されるようになった。国は「1兆分の1」と「1000兆分の1」の2ツの単位を作った。分析技術の進歩に合わせたものであろう。分析技術の進歩に合わせて、1000兆分の1の濃度でも有害であると言うデータが次々と発表されるようになると思う。私は、科学的な根拠はなくとも、胎児性水俣病を見て感じること、つまり素人の直感で充分であると考える。
 母親の胎内の水銀(無機水銀は体内で簡単に有機水銀に変わる)が胎盤をすり抜けて胎児に移行し、胎児性水俣病になる。
 ダイオキシンなど環境ホルモンも同じである。
 今の日本人は胎児のときから、ダイオキシンなどを食べて育っている。身土不二。身心一如。身を冒せば心も冒される。身心ともに健康な子供がどんどん減っている。アレルギー、アトピー、学習障害、多動等々。可哀相に!
 ドイツでは種子消毒以外の水銀剤の使用を禁止した。一方、日本は立毛中の農薬として水銀剤を大量に水田に散布した。さらに、水田土中のダイオキシンは、CNPとかいう除草剤が主たる原因とのこと。であるから、カドミウムのような重金属は特定の地域のようだが、水銀やダイオキシンなどは日本中の水田の土から検出されると思う。日本中の水田の土から、水銀やダイオキシンなどが検出されるとするなら、有機農業とか無農薬栽培とか環境保全型農業と言ったところで、どれほどの意味があるのかと思う。持続可能な農業というが、ダイオキシンなどを含む米を消費者が買い続けると言う意味での持続性はあるのかと思う。
 人間なんて、それしかなければたとえダイオキシンが含まれていようと、それを食べる動物だと開き直るのであろうか。
 ダムを作ったり、干拓したり、新幹線を作ったりという公共事業はすぐやめにして、ダイオキシンなどの化学物質を含まない水道水をつくる公益事業を、米からダイオキシンなどを除くために、日本中の水田の土を無害な土に入れ替える公益事業をやってもらいたいものだ。(渡辺矩夫・岩手県東和町在住)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp