この人と語る 21世紀のアグリビジネス 2〜3年で日本のインターネット普及率は80%超える 統合メリット出すには思い切ってIT投資を 日本電気コンピュータシステム株式会社 代表取締役社長 林 裕 氏
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インターネットの加速度的な普及を軸に「IT革命」があらゆる分野で進んでいる。JAが「生産者がどうして欲しいのか」を考え、それに応えるサービスを提供していくにはITの活用が必要だと、長年JAグループのシステム開発に取組んできた林裕社長は語る。 |
−−まずはじめに御社の仕事の内容をお聞かせください。 林 一般的には、トータル・ソリューション・プロバイダということになります。ソリューション(solution)という意味は、お客様が何か考えておられることを解決するために、方法論とか仕組みを考えてご提案することです。そして、それで良いとなればシステムを開発し、実際の運用にあたっての支援や保守、導入後の評価までのすべてを行います。しかし、完成して終わりということにはなりません。仕組みというのは時代によって変化していきます。必ず革新があり、改革があり、変化があり、発展がありますから、それに常に対応して、できあがったシステムをフォロー・アップして時代に合った仕組みとなるよう継続した業務になります。 ●JAグループとの関わりは長く、重要な分野● −−ユーザーにはJA関係がかなり多いようですね。 林 基幹システムを入れさせていただいているのは、JAと県連で50団体くらいですね。 −−基幹システムというのはホスト・コンピュータとか・・・。 林 ホストとかネットワーク全体、あるいは端末のすべてとかで、私どもにとって大事なお客様という意味です。 −−JAグループはほとんど御社が担当ですか? 林 ほとんど一手にやっているといっていいでしょうね。JAグループとは会社の発足以来ですから、歴史的にも長く、重要な分野です。 ●IT化で顧客サービスを向上しなければ● −−林社長はNECでかなり大きなプロジェクトを手がけてこられていますね。 林 はい、ナショナル・プロジェクトとよばれるような公共性の高いシステムの開発に携わってきました。 運輸省陸運局の車検に関わるシステムとか大蔵省の関税・通関システム、郵政省の簡保関係のシステム、航空会社の座席予約や機材管理システムや運航管理のシステムとか・・・。 −−そういうシステムを導入すると仕事は迅速で効率化されますが、雇用の問題がでますね。 林 日本でシステム化が進まなかった理由の一つですね。それでもシステム化が進んできたのは、合理化・効率化され正確性だとかスピードがあがることが、人が減るマイナスを上回っている。余剰人員は人間でなければできない分野の仕事をするべきだ、という考え方が強くなってきたからだと思います。 −−そこまで追い込まれているわけですね。 林 IT化・システム化することで顧客に対するサービスを上げていかないと、勝ち残れないところまできていると思います。“電子政府”というのも同じ感覚ですね。これは効率的であり、正確であり、合理的で、非常に便利な社会です。しかし、かなりの人が現場からはずれることになります。この背景には少子化で若い人が減っていますから、大勢の人間でサービスをすることができなくなるということもあります。だから、人がいなくてもできるオペレーションを考えていかなければいけないということで、IT化が加速されていると思いますね。 ●携帯電話が加速するインターネット普及率●
−−日本のIT化の進度はどの程度でしょうかね。 林 私たちの業界では昔からITという言葉を使ってきましたが、一般的になったのはここ1〜2年くらいからですね。その場合のITの基軸となっているのはインターネットですが、感覚的にいえば昨年が“インターネット元年”かなと思っています。それはいろいろな分野で本格的にインターネットを活用した指向が始まったからです。 −−点数をつけると何点ぐらいですか? 林 国民1人ひとりがインターネットを通じてサービスを提供したり提供される状態を100点とすれば、利用者が2000万人で普及率が15〜16%と、いわれていますので、20点弱くらいではないかと思いますね。今年になって急速に利用人口が増えていますが、その多くはiモード(音声通信とインターネット接続機能をもった携帯電話)に代表される携帯電話で、パソコンだけではないんですよ。 ●若手農業者はいろいろな発想ができる● −−農業分野ではどうですか。 林 まだ数は非常に少ないのですが、自信がある農産物をつくって全国に流していこうという先進的な農家の方が増えていると聞いています。 林 組合員さんとの絆が薄れているといわれていますが、JAとの絆を強固にしていくようなサービスをJAとして考えていかないといけないと思います。40歳以下の若手の農業者は、パソコンやインターネットを使っていろいろな発想ができると思います。その人たちにいままでと同じサービスをしていたのではダメだと思いますね。 −−それができる人材が問題ですね。そこに御社の存在価値があるわけですね。 林 エネルギーがあって、時代の流れを肌で感じて豊かなアイディアがわいてくるのは若い人ですよ。それは、どの業界でも同じではないでしょうか。 −−全農は来年春に半数以上の県連と統合しますが、やはりITの活用が必要でしょうね。 林 それは絶対必要ですね。IT投資を従来よりも思い切ってしていかないと間違いなく遅れると思いますし、統合したメリットを出せないんじゃないでしょうか。 −−最後にJAへのメッセージがあれば・・・。 林 さまざまな課題を抱えられ大変だとは思いますが、一番は生産者である組合員の皆さんがどういうサービスを望んでいるのかだと思いますが、感覚的にいえば“伝統的な仕組みを重視しすぎているな”と感じますね。そういう意味では民間企業に少し学んで、近代的経営化して、より一層の効率化や時代にマッチした迅速な対応を行い、生産者がどういう状態で、どうして欲しいのか、どうありたいのかを真剣に考えなければいけない時期にきているのではないかと思います。そのための手段のひとつとしてITをどう活用していくかではないでしょうか。若くて優秀な人材がたくさんいらっしゃるはずですから、そういう人たちに任せてみることも必要ではないでしょうか。 −−今日はお忙しいところをありがとうございました。 インタビューを終えて |