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この人と語る21世紀のアグリビジネス |
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◆メーターに追い風
――「精密加工技術」が会社のDNAだとされていますが、沿革をお話下さい。 「前身は昭和13年設立の高野精密工業(名古屋)で、掛け時計をつくっていました。やがて当時の背景を受け国より砲弾の信管(起爆装置)をつくれとの指示を受け、創業当初は売上げの90%が信管でした」 ――どういう意味ですか。 「エレクトロニクスとメカニズムを掛け合わせた新造語です」 ――今もずっと複写機周辺機器が主力製品ですか。 「そうです。現在の売上高の約65%が(株)リコー向けの複写機周辺機・情報機器です。次いでガス・水道メーターが20数%です。ほかに創業時からの信管とか時計、それにかかわる精密機器関連などの製品があります」 ――この3月期決算見通しでは売上高779億円と前年比約100億円の増加(伸び率17.3%)となり、営業利益も経常利益も大幅増となっていますが、どんな要因からですか。 「ガスのメーターは10年に一回の交換が法律で義務化されており、今後、平成21年までは交換需要が多くなるという背景があります。これは業界全体に吹く追い風です」 ◆時計技術の応用で ――信管の需要はどこにどれくらいあるのですか。 「自衛隊の演習用と備蓄用を防衛省に納入しています。戦後の生産再開は朝鮮戦争勃発による米軍よりの要請からでした。年間約50億円規模の事業です」 ――子会社は5社ですか。 「はい、うち3つは香港と深にある公司で、深工場では複写機周辺機の組み立てを主にやっています」 ――「リコーエレメックスグループ」は「リコー三愛グループ」の中の一グループですね。 「そうです。その中でメーカー系の会社はみな「リコー」という名称を冠しています。一方、サービス系の会社は「三愛」の名を冠しています」 ――三愛の店舗の1つは東京・銀座4丁目の角にあって、よく知られています。 「婦人服やオフィス用の制服などを扱っています」 ――ソニーの井深大さんはリコー三愛グループの創業者・市村清さんについて「独特の多角経営」を展開した人であると評価しています。市村さんが敗戦直後の焼け跡の中で掲げた「三愛の精神」という理念は外部にも知られています。 「『人を愛し、国を愛し、勤めを愛す』という三愛精神は今もグループ内の全社が創業の精神としています。市村は例えば敗戦直後の復員兵が着る物に困っている状況を見て衣料品を扱う三愛を起こしましたが、これなども三愛精神の発露です」 ――ガスメーターの製造にしても一般家庭の必要性に対応した事業といえますね。昔は薪や練炭・豆炭が燃料ですからメーターなどはいらなかった。 「都市ガスには配管などのインフラが必要ですが、LPGはボンベを運ぶだけ。簡易性が受けて30年ごろから一般家庭で使われるようになりました。これに対応して当社は時計で培った精密技術の応用でプロパンガスメーターを開発。36年から販売を始めました」 激しくなる競合電力とLPG事業 ◆マイコン組み入れ 「48年にはLPG供給にあたってのメーター設置が法制化され、重量売りから計量売りとなりました。LPG利用世帯は今2600万世帯ですが、メーター普及率はほぼ100%です」 ――都市ガスとの競合で利用世帯数が減っていませんか。 「いえ、横ばいですね。それに都市ガスよりも電力との競合が目立ちます。背景には電力自由化があり、都市ガス会社や、新規事業社の電力参入もあるわけです」 ――かつてはLPG世帯の増加につれてLPGの事故も増えましたが、今はほぼ無事故ですね。 「当社はガスが多量に流れたり、または長時間流れたりすれば、これを異常と判断し、遮断してしまうという保安機能を持ったメーターを開発しました。マイコンを組み入れたものです。官民一体の事故防止活動で、今は年間の事故発生が激減しています」 ――JA全農と一緒に高齢者世帯向けの「安心コールサービス」という事業をやってますね。 「全農さんが集中監視システムを立ち上げる時から、保安機能と同時に通信インフラを使ってセンター管理の合理化を図ろうということでやらせていただきました。全農さん扱いのLPG世帯は300万世帯ですが、安心コールサービスの接続者は100万世帯となり、喜ばれています」 ◆どうなる家庭料理 「平成18年6月より新築物件には火災警報器の取付けが義務づけられました。リコーエレメックスではJA様と共同で安心コールサービス対応の火災警報器を開発いたしました。これにより更なる安心・安全へのお役立ちができることと思います」 ――農協のLPG事業についてはどう見られますか。 「長期的には人口減少で市場規模が縮小し、電力との競合もありますが、生活必需のインフラ事業ですから需要の横ばいが続くものと見ています」 ――最後に食と農についてはいかがですか。 「最近、喜ばしいのは青果の売場に生産者の名前や写真をつけた商品が並んでいることです。これは消費者に安心感と信頼感を抱かせます」
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(2007.3.30) |
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