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この人と語る21世紀のアグリビジネス |
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農業向け需要に対応 農協からも課題提起を ◆シナジーに期待して
――フォークリフトを使っていない業界はないといわれるくらいで、農業関係でもたくさん使われていますが、「ミニ建機」のほうはどんな状況ですか。 「ほ場整備などに使われています。今後は農村の高齢化などに伴う需要を期待しています」 ――建設機械は多種多様ですが、コマツグループでは小さな建機群をミニ建機と呼んでいるのですね。今回はミニ建機とフォークリフトの会社を合併させました。ねらいは何ですか。 「小さな機械を製造することだけを真剣に考える集団づくりがねらいです。大型と小型の両方を製造する体制では、例えば数10万円の機械よりも1000万円台の機械を造るほうに引きずられますからね。そこでグループ内の各商品を突き合わせ、サイズでも生産量でもほぼよく似たミニ建機とフォークリフトのメーカーを一緒にしました」 ――用途の違う機械の生産事業を1社に集めたわけですね。 「生産量をまとめることで少しでも安価な商品を供給していきたいと考えております」 ――国内市場でのシェアはどんな状況ですか。 「フォークリフトの国内メーカーは7社で、当社のシェアは約20%です。海外を含めてのリード役はやはりトヨタです」 ――合併によるシナジー効果はいかがですか。 「設計面で目立ちますね。建機にもフォークリフトにもエンジンやハンドルがあり、変速、車輪の回転など力の伝達部分も同じです。サイズも似ていますから、各部品を共通にすれば設計が1種類ですみます」 ◆BRICsから追い風 ――海外戦略はどうですか。 「近年は積極的に海外での販売を強化し、フォークリフトの輸出量は01年の約3000台から06年には約1万台に増やすなど大きな成果を挙げています。新車需要も大幅増です。ミニ建機のほうも05年の新車需要は11万2000台でしたが、08年は13万台と予想されます」 ――やはり中国、インドの伸びに大きく期待しますか。 「中印を合わせると世界の人口の4割ですからね。中印を含めたBRICsの経済成長と生活水準の向上に期待します。その後にはNEXT11と呼ばれるメキシコとかトルコなど11ヵ国の成長もひかえています」 ――でも中国の景気は北京オリンピックまでとか、また過熱気味ともいわれています。 「とにかく不況はいつかは必ずくるわけですから、景気が下り坂になる兆候を早く察知して手を打つことが肝要です。そこが企業の勝負で、対策の立て方が早いか遅いかによって大きな差がつきます」 ――ミニ建機について、もう少し説明して下さい。 「代表的なものはミニ油圧ショベルで上下水道、ガス管、光ファイバーなど都市ライフライン整備の現場を中心に使われています。狭い場所で多く使われるため狭所性や小旋回性が重視されます。都市型であるためアーバン建機とも呼んでいます」 ◆優良企業のトップに ――次に国内市場の見通しはいかがですか。 「成熟していますね。東京オリンピック招致による大きな再開発事業でもあれば別ですが、国内需要よりも新興国などへの輸出に大きく期待しています」 ――この3月期決算は好調でしたが、ご感想は? 「こんなに追い風が吹いたのは久しぶりです。旧小松フォークリフトはみんなよくがんばって5年連続の最高益更新となりました。旧小松ゼノアの場合は計画が高過ぎたせいか、計画には届かなかったけれども増収増益の結果は出しました」 ――日経プリズムという日経新聞調査の優良企業ランキングでは先ごろコマツがNo.1になりました。 「いや、びっくりしました。発表前の予想ではベスト10入りをすればいいんじゃないのなどといっていたのですよ。しかし首位に立てば後は落ちるだけ(笑い)だから手放しでは喜べません」 ――ものづくり技術の先行きが心配されていますが、海外駐在の経験をお持ちの社長はグローバルに見て日本の技術をどう思われますか。 「やはり世界一ですね。完璧な製品を求める国内市場で鍛えられてきた日本の技術は世界中で通用します。一方、細かな注文に応え、性能に関わらない部分にまでメーカーがカネをかけるため、それがコストを少し押し上げる面もあります」 ◆環境に優しい機械を ――しかし農産物の輸入は増える一方ですが…… 「難しい問題ですが、私どもの立場からお話しますと、小松製作所は自由化を乗り越えてきました。私の入社前の1961年ごろ、建設機械の輸入と資本が自由化されて米国のキャタビラー社が日本に上陸してくるとわかり、小松がつぶれるのは必至だといわれました。しかし当時の社長は<負けてたまるか>と反骨精神を燃やして体質を変え、製品の品質を高めて自由化に立ち向かいました。今日のコマツがあるのはそうした試練を経てきた結果だといえます」 ――コマツの新商品開発の方向についてはいかがですか。 「世界的な燃料の高騰に対応できる燃費のいい機械を開発していきます。燃料消費量の少ない機械を目指すのは万国共通だと思います」
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(2007.5.11) |
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