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この人と語る21世紀のアグリビジネス |
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◆肥料の川上から川下までを一貫する輸出入・物流を担う
――会社が設立されて何年ですか。 「昭和44年に新東バースとして設立されてから38年になります。」 ――設立の目的はどこにあったのでしょうか。 「肥料の国産品と海外品との価格差が広がり、農家が安い肥料を手に入れるためにどうするかが全農(当時は全購連)のテーマでした。そのために、国内肥料メーカーの再編成、海外資源である肥料を輸入するための物流拠点、そして系統肥料専用船の就航の3つが、全購連が主導する低コスト海外原料資源の優先的確保対策プロジェクトだったわけです。つまり、肥料流通のコスト低減がこのプロジェクトの理念だったわけです」 ――コスト低減が最大の目的だったわけですね。 「38年前に肥料のコスト低減をするために、国内だけでは対応できないことについてどうするか、当時の全購連は資金も使いながら答えを出そうとしたわけです。この会社はそういう会社だということを踏まえて経営していかなければいけないと私は考えています」 ――組合貿易の肥料農薬部門が移管され、貿易業務もされるわけですね。 「肥料を中心にした山元である川上から、港湾荷役、BB工場など川下までを一貫する輸出入・物流サービスを担う会社になりましたので、さらにコスト低減をどう実践していくのか。農家の置かれた状態にどういう形で応えられるのか、ということが課題だと考えています」 ◆「ワーク」と「ライフ」のバランスがとれていると自負 ――社長は、全農の企画の中枢を歩かれて全農の役員を勤められてこられました。そして昨年からアグリビジネスの社会にはいられたわけですが、会社経営についてどのように考えられていますか。 「常に黒字計上できる、それが継続できる会社でなければならないと思います。そしてコンプライアンスと社会的に信頼されることが会社運営の基本だと考えています。会社は誰のためのものかというと、かつては社長のものとか、株主のものあるいは従業員のものといわれました。しかし私は、消費者国民から『この会社はこういうことをやって社会に貢献しているんだな』と認められる、社会に認められる会社でなければいけないと思います。社会に認められることのなかに、株主も従業員もあると思っています」 ――組合貿易から人も移ってきて問題は起きていませんか。 「私は歴史の違いを活かしながらの良い風土ができつつあると考えています」 ――そういえるポイントはなんですか。 「『うちの会社はいい会社だ。移って良かった』といえるように社員の活力を維持していくことだと思います」 ◆プロとしての専門性をもっと磨く 中国へ語学研修も ――JAへ「高いノウハウと安いコストによる価値の高い仕事」の提供をめざすと会社概要にありますね。 「基本的には、JAあっての全農グリーンリソースだということを機会があるごとにいっています。港湾荷役だけをやっていると、ついついわれわれは倉庫業界の仲間だと考えがちです。それは事実ですが、軸足は農家でありその組織であるJAにキチンと置いていないと仕事を間違うと思います」 ――高いノウハウを築くためにどういうことを…。 「輸出入に関わるノウハウ、港湾荷役・保管・加工包装・運送業務およびバース管理、施設・財務・情報システムなどの管理などの仕事がありますが、いずれもプロとしての業務遂行が求められています。そのため、それぞれがプロとしての専門性をもっと磨けといっています。そして、いま現場では全員が自分の仕事に必要な国家資格や県などが認定する資格を取得していて、10以上のそうした資格を取得している人もいます」 ――港湾現場以外でもですか。 「海外事業に所属する人は、最低、英語と業務のメインである中国語を取得することにしています。とくに中国語については、手を上げれば1年間語学留学できる制度をつくりました」 ◆CSR&環境レポートを発行―全農グループで初めて ――「グリーン経営」の認証を取得されていますが、これは全農グループでは初めてのことですね。 また「18年度CSR&環境レポート」を出されましたが、これも初めてのことですね。 CSRとは、企業の社会的責任ということですね。 「CSR&環境レポートを発行したのは、企業の社会的責任がますます問われるなかで、JAグループの一員として、わが社のコンプライアンス経営をより充実させること。JAグループでは初めてとなる『グリーン経営』の認証を機にわが社の取組みをまとめ第1号として発行しました」 ――どういう人を対象に発行されたのですか。 「社員が主体ですが、株主であり荷主でもある全農、BB工場、肥料メーカーです」 ――「グリーン経営」とはどういうものなのでしょうか。 「すでに2000年版の環境ISOを取得・更新して取組んできていましたが、ISOの取組みをより発展できること、5つの事業所と本社の全職場で具体的な目標をもって実践できることをめざして昨年8月にこの認証を取得しました」 ――最後にJAグループへのメッセージとかアドバイスをお願いします。 「時代の変化のなかで表れてきた日本の農業・農政の諸矛盾を全農が背負わされ、矢面にたたせられていると思います。全農として考えていることを、必死になって内部だけではなく、世に問うことをしていかないといけないのではないかと思いますね。そのときに、JAグループの主人公は農家組合員だという原点を忘れてはならないですね」 ――今日はお忙しいなかありがとうございました。 |
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(2007.6.6) |
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