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この人と語る21世紀のアグリビジネス |
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飲み方の提案など多彩に “押し付け”PRはやめる ◆朝食抜きや少子化響く
――牛乳消費の減退は数字的にどのような状況ですか。 「ピークだった平成6年度の消費量は435万キロリットルを超えていましたが、18年度は368万キロリットルに減りました。この間の減少量は九州全体の生産量70万キロリットルに近い数字となっています」 ――消費減退の要因は? 「牛乳が栄養豊かで健康に良いことはみんな知っています。そのため逆に、栄養のある牛乳を飲むと太ると思い込んでいる人が若い女性を中心に多くいます。それが1つの原因だといわれています」 ――それは大間違いです。 「お茶やミネラルウォーターや食物繊維など栄養失調になりそうな食品が健康に良いとされる傾向は大問題です」 ――消費減退をどう食い止め、どう回復させるか、Jミルク(日本酪農乳業協会の略称)のメインの運動は何ですか。 ◆PRの相乗効果高める 「牛乳とヨーグルトとチーズを毎日飲んだり食べたりして健康と美を増進しましようと訴える『3―A―Day』という食生活の提案運動を協会発足時から展開しています。これは例えば牛乳だけを1日に3回飲んでもよく、組み合わせは自由です」 ――サプリメントは売れていますが、中高年層にはいささか違和感があります。 「それで20〜50代の女性を対象に調査したところ、サプリにはいい印象を持っていました」 ――そういう説明はわかりやすいですね。 「だから牛乳こそ真のサプリなんだよという意味をこめて『…サプリかも』の運動を進めています」 ――それにしても牛乳は随分安いサプリです。 ◆混ぜ飲みの普及を図る 「牛乳はコップ1杯39円ですが、そこに含まれるカルシウムを他の食品から摂ろうとするとチリメンジャコなら262円、コマツ菜なら115円、ヒジキや豆腐と比べても安いのですよ」 ――子ども向けにはどんな説明が効果的ですか。 「先生や栄養士は給食牛乳を残す子らに『飲めば背が伸びるよ』と説明しています。統計でも中学生の平均身長の伸びに牛乳が大きな役割を果たしていることがわかります」 ――私は牛乳に甘酒を入れて飲んでいますが、飲み方についてのPRは? 「そこですね。生乳100%でなければ『牛乳』の表示はできませんが、その底流にある“100%神話”みたいなものを反省しなくてはいけないかもしれません。ほかのものを混ぜた『乳飲料』が近年は年率7%ほどの勢いで伸びています。そうした消費者志向に合わせた商品開発をしていく必要があります」 ――『病気にならない生き方』という本の中に“牛乳なんか飲まなくてもよい”と書いてあるためJミルクは著者の医師に質問状を出しましたが、その後の経過はどうですか。 「半年後の昨年10月にやっと回答がきて記述の根拠が列挙されていましたから、学者研究者に詳細に検証してもらった結果、全く科学的根拠のないものであるとの結論を得ました。それを昨年末に公表しましたが、著者からはまだ反論がありません。もともとあの本はサプリメントを販売するための戦略本ですよ」 ◆チーズ製造で自給率上昇 ――今年の酪農乳業業界の動向はどうでしようか。 「飼料の高騰による危機的な年といえます。飼料、燃料、資材などの高騰により牛乳の販売価格も上げざるを得ません。実は販売価格の引き上げ話は30年ぶりのことなんですよ。財布の紐が堅い消費者がどう反応するかですね」 ――牛乳・乳製品の自給率は高いのですね。 「66%だから食料自給率全体と比べかなり高いですね。輸入はチーズが多いのです。しかし今年は大手3社が北海道にチーズ製造工場をそれぞれつくりますからチーズの自給率も上がります」 ――最後に、ご趣味についてひとことお願いします。 「ウォーキングが趣味で1日1万5000歩を歩いています。日本ウォーキング協会の顧問でもあります」
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(2008.2.8) |
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