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検証・時の話題
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「落札数量ゼロ」の背景を探る |
米価格センターが実施した19年産第1回入札では落札数量ゼロという同センター始まって以来の事態となったが、続く第2回入札でも再び落札数量ゼロと異例の状況になっている。産地からは販売環境に不安の声も出ている。米価格センターは入札取引の活発化をめざして今年度も運用ルールを見直したはず。この背景について緊急に荒田盈一氏に解説してもらった。 |
◆落札数量ゼロに衝撃走る
07年産最初の入札取引が8月30日に実施された。上場された産地品種銘柄と数量は千葉と三重のコシヒカリで1400t。千葉産には4.3倍、三重産には3倍の申し込みがあったものの落札数量はゼロで終わった。成約に至らなかった原因は買い手側の応札価格が売り手側の希望価格である落札下限価格を下回ったからである。その理由は「米の需給が過剰」であるためだ。90年に米価格形成センターが開設されて以来、初取引での未落札は初めての事態であり、落札数量ゼロに関係者の衝撃が走った。それだけ需給環境の厳しいことが証明された。 ◆稲作収入減少を覚悟する事態に突入 これに対して米づくりの本来あるべき姿で「売れ残りに価値なし」と脅迫されている生産者や単協を中心とする生産者団体も「完売に迫られる」ため積極的に対応する時代だ。今後も未落札状況が継続すれば適正価格水準の不透明さが継続し、仕入は当面の必要数量に限定したスポット買いにシフトするため取引の活況化も期待はできない。一方、指標価格を形成できないコメ価格センターはその存在意義が問われる。いずれにしても生産者(売り手)は07年産取引価格の低迷が避けられず、稲作収入の減少を覚悟する事態に突入した。つまり「供給過剰と指標価格の未確定」の中で価格の上昇は有り得ないからだ。 ◆「過剰問題」と「派生する問題」 供給過剰問題は昨年同時期も関係者の間で囁かれていた。偶然にも06年産は作況96、生産は単年度需給均衡を基本に計画されているため一般的には作況マイナス4の部分が不足する。しかし、不足部分は過剰作付面積で生産された数量で相殺され、更に06年産は不作だけでなく収穫の遅れもあって、売れ残りが予想された一昨年産(05年産)の過剰分が昨年7月〜10月に捌け、懸念されていた在庫問題を解消させた。06年産が平年作で収穫に遅れがなかったならば「過剰問題」と「過剰から派生する問題」は昨年のこの時期に発生していたはずである。06年産の不作と収穫の遅れが課題を先送りにし、07年産に持ち越された。 ◆コメ価格の復活期待できず 06年産は10万tを超える売れ残りが確実視され、07年産の過剰作付け分と消費の減少分が在庫に積み増しされる。07年産は平年作と見込まれ、収穫も順調、販売の関心は07年産に移行する。売れ残った06年産の価値(価格)は消滅する。11月に値引販売が実施されると予想されていた新潟コシヒカリ、秋田あきたこまちを中心に指標価格対比で5000円程度の値引き販売が前倒しで始まった。これでは当分の間、価格の復活は期待できない。 |
(2007.9.14) |
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