◆17年産は需給均衡の見通し
17年産の作況は全国で101で主食用生産量は893万トンとなっている。需要量は853万トンのため40万トンの生産過剰となる。
このうち豊作による過剰分は9万トンで、主食用に流通させず区分出荷する集荷円滑化対策の対象となる。発動地域は23都府県で的確に区分出荷が行われれば8万トン程度が処理される見通しだ。
豊作以外に作付けオーバーなどで過剰となった量は31万トンだ。ただ、6月末の民間在庫が175万トンと昨年より38万トン少ないことや、政府備蓄米も10月末で71万トン水準のため40万トンの政府買い入れを予定していることから、豊作要因以外の量も吸収されて需給均衡はできると農水省は見通している。
政府備蓄米には9年〜11年産が32万トン程度残っており農水省は、今後これを飼料用などに売却する方針で主食販売数量は10万トンと見込んで来年6月末の在庫を91万トンに回復させる方針だ。
◆民間在庫の発生が懸念
一方、来年(18年7月〜19年6月末)までの需要量は844万トンと今年より7万トンの減少が見込まれている。需要に合わせた米の生産をするには7万トン分は米の作付け削減をしなければならない状況だ。
ただし、今回の生産目標数量の設定にあたっては、過剰作付けを解消することをめざした。
JA全中の試算でも、17年産の生産目標数量851万トンの適正作付け面積は161.5万ヘクタール程度。ところが、実際は167.7万ヘクタールとなっている。
原因は、生産目標数量を面積に換算する際に単収を低めに設定したことによる面積の拡大と生産調整への不十分な取り組みだ。
JA全中の試算では基準単収の設定要因が2.5万ヘクタール、生産調整未達成要因が3.7万ヘクタールあるとしている。
かりに生産目標数量を需要量どおりに配分しても、これらの要因が是正されなければ豊作にならなくても過剰が発生することが考えられる。
一方、過剰が発生しても政府備蓄米は100万トン水準を回復する見込みで来年の出来秋以降に過剰分が吸収されない可能性もある。そうなればJAも含めた民間在庫の発生となり、価格引き下げの要因となる。
こうしたことから農水省は地域での面積配分の際の単収基準の適正化を徹底するとともに、過剰作付けを抑制するという観点から18年産の目標数量を設定することにした。
具体的には需要量見込み844万トンから17年産の豊作による区分出荷分7万トンを削減することに加えて、基準単収を見直し、さらに作付け過剰分から10万トンを削減することにし825万トンとした。ただし、区分出荷分はその処理が行われれば来年にも補正することにしており、8万トンが処理されれば補正後には833万トンとなる。
◆計画生産に向けた取り組みが一層重要
過剰作付け分は17年産では17万トンとされているが、需要見通しを下回らない水準として今回は10万トンの削減計画とした。農水省の試算では今年より7.6万ヘクタール分の削減が求められる。
都道府県別の配分では需要見通しを反映した生産目標数量を超えた分に応じて、該当する都道府県の生産目標数量を削減するという方式をとる。
JAグループは17年産の区分出荷分を除いて831万トンの主食生産を目標とした場合の試算として、適正面積は157.1万ヘクタールとしている。17年産よりも10万ヘクタールの削減に取り組むことが必要になるという(下図)。
そのためJAグループの基金や産地づくり交付金などを活用して転作に取り組むことが一層重要な課題となる。
農水省は今回の方針について「需要見通しどおりに設定したのでは過剰になるというメッセージを出すべきと考えた」という。
品目横断対策の導入に向けて地域水田ビジョンづくりや担い手づくりが課題となっている。担い手として認定される農業者は米の計画的な生産が要件になっている。米の需給安定に向けて地域あげて土地利用計画づくりなど全力で取り組むとともに、生産調整へのメリット措置についても十分な理解が必要になっている。JA全中は、18年産対策推進と米改革の検証などの取り組み方針を12月1日の水田農業対策本部委員会で決める。
|