農業協同組合新聞 JACOM
   

検証・時の話題

(社)農協協会
「JA総合事業にかかる意識調査」から
調査結果その2
事業ごとの実情と取組み課題が明らかに

図6 新規顧客の獲得施策(共済事業)
 共済事業において新規顧客(ニューパートナー)の獲得施策についてもっとも重視しているものを、(1)JA共済利用者世帯内の未加入者への推進、(2)信用事業利用者のうちJA共済未加入者への推進、(3)JAとの取引がない一般顧客(員外)への推進、(4)地域の全世帯に対するローラー推進、(5)職員からの紹介(地縁・血縁のある先)、(6)その他、から1つを選択。
  別の設問で生命共済の契約者減少要因として多くのJAが「次世代層との接点が少なく、推進が難しい」(110JA)と回答。ここにターゲットを絞り新規顧客を獲得していかなければいけないと考えているJAが多く、規模による差はみられない。しかし、都市部では「世帯内未契約者への推進」と「信用事業利用者への推進」がそれぞれ4割程度あるのに対して、都市部以外では「世帯内未加入者への推進」が5割を超え「信用事業…」は1割に止まっている。



図7 システム経費の状況(信用事業)

 JAにとって現在のシステム経費は適正かどうか、(1)システム経費は適正、(2)現在のシステム経費は高いので圧縮する方針、(3)システム経費が経営を圧迫しているので、システム経費削減は最優先課題、の中から1つを選択。
  都市部/都市部以外、規模の大小を問わずシステムコストが高いと感じており、8割を超えるJAでITコストが負担となっていると回答。とくに、システム経費の削減を最優先課題にあげるJAが3分の1にものぼることが注目される。




図8 販路拡大施策(複数回答)

 販売事業における今後の販路拡大にとって有効と思われるものを、(1)直売所、(2)生協・量販店との直接取り引き、(3)外食・中食との直接取り引き、(4)地産地消の取り組み、(5)その他、から選択(複数回答可)。
 回答JAにおける青果物の市場取引の割合は平均で70%となっているが、今後の販売事業の収益改善の柱の一つにもなっている直接販売(直販)の販路について、半数を超えるJAが「生協・量販店との直接取り引き」(65%)、「地産地消」(54%)、「直売所」(52%)をあげている。また輸入農産物に対抗し国内産農産物のシェアを確保するために外食・中食・加工など業務用需要にどう応えるかも今後の大きな課題となっているが3分の1のJAがこうした課題に応えようとしている。




図9 販路拡大施策(都市部/都市部以外)

 図8を都市部と都市部以外に分けてみたのが本図。
 販路拡大策として都市部のJAでは「直売所」が70%強ともっとも多く、次いで「地産地消」が第2位(50%)となっている。生産現場のすぐ近くに多くの消費者が住んでいることがその大きな要因となっているのではないだろうか。
 都市部以外のJAでは、「生協・量販店との直接取り引き」が70%近くあり都市部JAとの違いを見せている。また、「外食・中食との直接取り引き」についても都市部に比べて積極的な姿勢があることが読み取れる。これは、青果物の市場利用が都市部では60%と低いのに対して、都市部以外では80%強と市場依存率が高いため新たな販路拡大が大きな課題となっていることもあると考えられる。




図10 販路拡大施策(規模別)

 図8を規模別にみたのが本図。
 大規模JAほど「直売所」「地産地消」など従来からの施策をあげる傾向が強く表れている。一方、中規模JAや小規模JAでは直売所よりも「生協・量販店」をあげるJAがもっとも多い。
 また中規模・小規模では、「外食・中食」をあげるJAが多く新たな販路拡大への意欲が強いと推察される。規模が小さいJAほど、青果物の市場依存率が低く、青果物のブランド化や高付加価値化を実現していると予測されるが、こうしたことも中小規模JAの生協・量販店との直接取り引きを望む背景にはあるのではないだろうか。




図11 購買事業のコスト削減施策

 購買事業のコスト削減のための具体的な施策として実施、あるいは計画されているものを、(1)配送方法の見直し、(2)仕入方法の見直し、(3)事業の統廃合、(4)人員再配置、(5)システムの導入、更新、(6)その他、から選択(複数回答可)。
 都市部・都市部以外、規模別によってコスト削減策は大きくは変わらないが、都市部以外のJAでは「事業の統廃合」をあげるJAの割合が都市部よりも高い。都市部以外のJAでは合併は進んでも事業自体の見直しがこれからというところが多いのではないかと推察される。そのためか「人員再配置」についても都市部以外の方が都市部よりも高い比率となっている。また、規模が小さくなるほど、「システム導入、更新」がコスト削減施策としてとられる割合が小さくなっている。

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(2006.2.6)

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