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コメの先物取引、認可せず −農水相 (3/28)


 中川農相は3月28日の会見でコメの先物取引について「あるべきコメ生産、流通消費が実現されていれば先物市場が整備されることが望ましいのは当然。しかし、現時点ではあるべき姿に到達していない」として、先物市場の開設は生産調整の円滑な推進とコメ生産に「著しく支障を及ぼす恐れがあると考えられるので現時点では不認可にさせていただく」と述べた。
 コメの先物取引については昨年12月に東京穀物商品取引所と関西商品取引所から農水省に試験上場申請が出されており、3月29日から4月28日までの間に農相が判断することになっていた。
 商品取引法上の認可・不認可の基準は「生産、流通に著しい支障をおよぼす、または及ぼすおそれがある」だが、農水省は判断のポイントを現在実施されている米政策と整合するかどうかとした。米政策改革では、水田農業の構造改革を進めるための地域ビジョンづくりを支援する産地づくり対策、豊作分を区分処理する集荷円滑化対策、価格下落、収入減を補てんする稲得、担経が実施されているが、いずれも生産調整の実施が要件。これらは米の需給と価格安定、経営リスクの緩和のための施策となっている。

◆米改革政策と整合せず

 一方、農水省が28日に明らかにした17年産の生産調整非参加者は42万人(12%)で小規模農家(1ha未満)が80%以上占める。過剰となった生産量は17万トンとされる。小規模農家については集落営農への参加、農地の貸し付けなどを促進する方向で構造改革を進めていこうとしているが、農水省はこうした状況で先物取引を認可すれば、生産調整非参加者も価格変動リスク緩和手段を得る道を開くことになり、一連の米政策の「政策効果が減じる」とした。米の計画生産が崩れるおそれがあり、需給と価格安定、構造改革を推進している現在の政策と整合しないとの判断だ。
 農水省は2月にJAなど生産調整方針作成者約1800件に対して先物市場の開設が生産調整に支障があるかどうかアンケートを実施した。このうち実際に申請が出されていることを知っているとした回答者の集計では「支障がある」としたのは72%だった。JAでは96%、農業者では57%となっている。JAグループも生産現場の混乱により生産調整や過剰米処理など需給安定対策に支障が生じるなどの理由で反対していた。

(2006.3.29)



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