米国産牛肉輸入問題をめぐって3月28、29日に開かれていた日米専門家会合後の記者会見で日本側出席者は、せき柱付きの牛肉が輸出された原因などについて「一定の共通認識を得た」(農水省釘田動物衛生課長)として、今後、日本ではこれまで米国が示している再発防止策などについて消費者向けの説明会を開く方針を明らかにした。
また、米国側は日本に示した再発防止策の具体化と問題を起こした2施設以外の認定施設についても日本向け輸出プログラムが守られるかどうかなど評価する作業を行うという。
会合ではせき柱付き牛肉を輸出した2施設(アトランティック社、ゴールデン社)に対し、そもそも米国農務省が日本向け輸出プログラムを遵守できると認定したこと自体に問題はなかったかがひとつの焦点となった。
米国は認定に問題はなく、同社の検査官が輸出プログラムについて十分に認識していなかったことが原因と回答していた。
会合でも米側は当時の認定自体に問題はなかったと主張したが、日本側が日本向け輸出のためのマニュアルなどをより具体的にしていればミスを未然に防げた可能性が高かったのではないかと指摘し、現時点で考えると「改善すべき点はあった」という認識で一致した。
◆消費者への説明会開く
もうひとつの焦点はこの2施設だけの問題かどうかだ。
米側は2施設が所在するニューヨーク州とオハイオ州には他に日本向け輸出施設がなく、食品安全検査局(FSIS)の検査官に輸出への関心が薄く注意を払っていなかったことや、と畜場と部分肉処理場が分離していたことなど、他の38施設とは異なる事情があったことを説明した。あくまでも特異的なケースだとの考えを改めて強調した。
そのうえで他の認定施設についても今後、輸出体制などを再検査していくことを表明した。
今回の問題を米側はあくまで特異的なケースとしていることに対し、日本側はシステム全体に問題があるのではないかとして米側に対応を求めていた。問題を起こした施設に限らず、全面的な禁輸に踏み切ったのもそのためだ。
今回の会合でも、米国は検査官が見逃した特異的な背景があったことを強調し、日本も「他と異なる背景事情の事実関係については理解した」(釘田課長)という。
しかし、今回の事例が特異的なものかどうかは「判断できていない」、「システムが原因ではない、ということに一致しているわけではない」(同)と強調し、日本としてはまだ「検証の途上」としている。
ただ、中川農相は3月31日の記者会見で「アメリカ側は今から振り返ってみれば不十分だったということを言っている。これは認識として共有した」、「向こう側の対日姿勢としては了とした」などと述べ、「次にやるべき目の前の仕事は食品安全委員会への報告と消費者の皆さんへの説明ということ」と輸入再開に向けて準備を進める考えを示した。 |