水稲の生育期間の高温化傾向が最近目立っており、高温障害として白未熟粒(=「しらた」ともいわれ、乳白粒、心白粒などがある)などが多発し、コメの品質低下を招いている。
農水省は、平成15年4月に「水稲高温対策連絡会議」を設置し、水稲の高温障害に関する情報の収集や対策技術の検討などをすすめて来た。このほど、3年間で得られた高温障害の発生メカニズムに関する知見や生産現場での技術対策の実施状況などを、「水稲の高温障害の克服に向けて(高温障害対策レポート)」としてまとめた。
当面の技術対策とあわせて、都道府県、農業団体などに通知、指導する。
高温障害の発生は、水稲の登熟期(出穂、開花から収穫までの期間)の1日の平均気温が27℃を上回った場合が顕著で、特に登熟期の平均気温が上昇基調にある九州地方などで深刻化している。
また、登熟期の日照不足やフェーン現象などによっても発生が増える。
生産者の営農要因としては、田植えの早期化、食味を意識しすぎた施肥量の削減、大型コンバインでの収穫のための水田の早期落水なども、発生を助長するという。
農水省は、今後各地域で最近の気象動向や生産者の営農実態を踏まえて、水稲の栽培体系や作付品種などを総合的に点検、検証し、生産者団体、普及指導センター、行政、試験研究機関が連携して高温障害の克服に取り組むとしている。
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