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IUPAC農業化学国際会議の開会式(神戸国際会議場にて) |
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(上)K.D ラッキー氏・
(下)J.C コリンズ氏 |
『第11回IUPAC農薬化学国際会議』(主催:IUPAC・大川秀郎組織委員会委員長=福山大学教授、日本農薬学会・梅津憲治会長=大塚化学ホールディングス専務)が8月6日〜10日にかけて、神戸国際会議場などで行われた。
11日には会議の終章を飾りエクスカーションとして京都、奈良、姫路城の古都および日本農薬(株)総合研究所などの見学が行われる予定。世界66カ国・地域から化学者など約2000名が参加した。予算規模は、1億2400万円にのぼっている。
初日の6日には開会式、基調講演および記者会見などが行われた。IUPACは「国際純正応用化学連合」と略され、農薬化学国際会議は第6分科会−化学と環境部会のもとでの国際会議となっている。
第1回は1963年にロンドンで開催され、わが国での開催は1982年の京都開催に続く2回目。今回の会議のテーマは「作物保護、公衆衛生、環境保全に関する技術革新であり、有意義な会議となることが期待される」(6日・大川委員長の開会式での挨拶)とした。
これを受け、講演内容も残留農薬分析、生物農薬と遺伝子組換え作物、急速に広がる「蚊」媒介伝染病の脅威、さらに「ポジティブリスト制度」など時宜を得た幅広いものとなり、ランチョンセミナー、セッション講演、イブニングセミナーともにいっそう充実したものとなった。
約400名の一般消費者が参加した8月9日の『北野大さんの、ちゃんと知らなきゃ!! 農薬ゼミ』も盛り上がった。南あわじ市の生産者・福永文男さんもパネラーとしてかけつけている。
記者会見には、大川委員長をはじめK・D・ラッキーIUPAC化学・環境部会長(米国、ダウ登録部長)、梅津会長、上山功夫組織委員会副委員長(バイエル クロップサイエンス)らが出席した。
ラッキー部会長は「講演内容は(農薬の)残留分析、環境に与える影響、遺伝子組換え作物、蚊媒介伝染病防御など幅広いものとなっている。会議の成功を祈る。(日本の)ポジティブリスト制度の導入は消費者に目を向けたものであり、かつ自由貿易を考慮したもの。遺伝子組換えへの取組みは、土壌などの環境汚染を守ることにもつながる」と記者団の質問に答えた。
なお、6日の基調講演は米国・デュポンのJ・C・コリンズ農業用製品事業担当社長が『作物保護の化学:未来への挑戦と機会』の演題で行った。
同氏は、「世界の農薬市場は減少傾向にあるが、環境との調和や食に対する安心などの必要性が、新製品開発への期待にさらに拍車をかけてきている」とし、将来的に「世界の人口、エネルギー、WTO、規制などで不確定な要素が多く、いっそうの総合力が重要となる」とした。
また、同氏は農薬登録問題およびR&D(研究開発)の現状と将来展望などを紹介したほか、今後は「中国、インド、アルゼンチンなどのGDP(国内総生産)も注目される」としている。
さらに、「米国、ブラジルを中心とした生物燃料の増加」も指摘し、デュポンの参画する極めて重要な分野であるとした。
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『農薬ゼミ』には、南あわじ市の生産者・福永文男さんもかけつけた |
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