(社)日本植物防疫協会(岩本毅理事長、本部:東京都豊島区)は9月7日、東京都千代田区の日本教育会館一ツ橋ホールで『天敵利用の基礎と実際』をテーマに技術研修会を行った。生物農薬の重要性はいっそう高まり、技術支援体制が重要とされた。関係者約350名が参加している。
IPM(総合的病害虫・雑草管理)では、商業天敵のみならず環境中に生息する土着天敵にも着目し、農薬など多様な防除技術と合理的に組み合わせた防除戦略の確立が重要となっている。研修会では、土着天敵など生物的防除手段の基礎とその有効利用を学んだ。
『IPMにおける土着天敵の活用』で講演した日植防の高木一夫氏は、「天敵を活かす防除法は、環境の管理のもとに省農薬生産を目指している。そのためには、単に外観を悪くするような害虫の被害は許容することが大切」とし、天敵利用技術開発の重要性を強調した。
また、『生物農薬の現状』を講演した東海物産(株)技術顧問の浜村徹三氏は、生物農薬利用のメリットは「処理方法の省力・クリーン・安全、抵抗性の発達が無い、付加価値のある農産物生産」にあるとし、害虫の発生初期の処理と環境管理の大切さを指摘した。
さらに、アリスタ ライフサイエンス(株)IPM推進グループリーダーの田口義広氏は『生物農薬の防除体系への導入』で講演し、導入には「栽培全体をとらえ、生物農薬の性質に配慮した組み立てが必要」としたうえで、今後は「生物農薬と有望な技術を組み合わせた結果の検証や技術支援体制が重要」だとした。
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