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講演する馬永清教授 |
宇都宮大学雑草科学研究センター(重川弘宜センター長、以下「センター」)は11月10日、同大大学会館において第1回『竹松セミナー』を開催した。農薬メーカーなど関係者約100名が参加している。
同セミナーは、雑草科学の嚆矢である竹松哲夫氏(故人)の卓越した教育研究業績を顕彰しその名を長く留めるとともに、将来的な雑草科学の探究に向けたもの。地球の温暖化などにより、植生が大きく変化しつつあることを受けたもので、今後は専門家、一般市民対象で隔年開催していく。
席上、菅野長右ェ門学長は「竹松氏は雑草を科学に止揚させ、学問として体系化された。センターが一丸となり、わが国の雑草科学研究拠点としての役割を受け継ぎ、将来の発展につなげていきたい」とセミナーの開催主旨を披露した。
竹松哲夫氏の発想は、草取りの重労働からの解放にあった。その結実として1967(昭和42)年、わが国初の農学部附属「雑草防除研究施設」(注)が同大に設置され、雑草防除研究の拠点となった。センターの研究ベクトルは、雑草のリスクマネジメント(予測・評価・回避)にある。
セミナーでは森田弘彦(中央農研・日本雑草学会会長)、馬永清(中国、西北農林科技大学教授・中国科学院)、ステファン B.パウレス(豪州、西オーストラリア大学教授)、一前宣正(センター教授)、竹内安智(同)の各氏が講演し、21世紀の雑草科学を展望した。
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第1回『竹松セミナー』には約100名が参加した(左が菅野学長)
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(注)センターの変遷
▽1946年 竹松哲夫「雑草」の研究開始
▽1967年 「雑草防除研究施設」を設置
▽1991年 「雑草科学研究センター」へ発展
▽1999年 「野生植物科学研究センター」へ転換
▽2006年 「雑草科学研究センター」に改組 |