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女性組織の活動と思いを熱く語る 女性国会議員と語る会


シンポジウム参加の女性議員
シンポジウム参加の女性議員

 「女性が考える これからの食と農、JA、パートナーシップのあり方」と題された初めての「女性議員と語る会」には、飯島夕雁(北海道比例・北海道 当選1回)、井澤京子(近畿比例・京都 当選1回)、上川陽子(静岡県1区 当選3回)、西川京子(福岡県10区 当選3回)、藤野真紀子(東海比例・愛知 当選1回)の5議員が参加。コーディネーターは北川太一福井県立大学大学院助教授。また大蔵浜恵会長もパネリストとして登壇した。
 北川助教授は「これまでの農協運動は“お願いします”運動だった。それは上下関係をつくる。そうではなく、お互いが対等の関係で日ごろの思いや悩みなどをぶつけあう双方向な関係で情報を交換するパートナーシップづくりが今回の狙い」だとこの会の主旨を語った。
 5議員が農業とのかかわりを含めて自己紹介した後、3つのテーマに分けて会場参加者と意見を交換した。そのテーマは
▽農業生産全般(担い手、WTO、自給率向上など)
▽食農教育(農業体験、学校給食、伝承料理など)
▽男女共同参画(農業経営、農村社会、JA運営など)の3つ。

◆地産地消は自給率向上につながる重要な柱

 農業生産全般についてのテーマでは、米価低迷、自給率の向上、BSE問題など食の安全について会場から意見が出された。西川議員は「政府は所得保障のために諸制度をつくるなど努力をしてきている」。上川議員は「自給率向上のためには、地産地消や食育はなくてはならない政策である。農業後継者を育てるためには、自分たちで価格を設定できるようにすることが大事」と語った。大蔵会長も「あてにならない国の施策よりも地産地消を進めることが自給率向上につながる」と、地産地消の重要性を強調した。

◆食農教育を授業に

 会場からもっとも熱い意見が出されたのは食農教育についてだった。
 JA徳島女性協の吉田フクヱ会長は「日本の農業はいるのかいらないのか、本音を聞きたい。命の源である食をつくるのは農業だ。学校の現場では“食育”はできても“食農”はできないと困っている」と実情を報告。「食農教育を学校の授業に」という意見も出された。
 またJAいわて中央女性部の熊谷富民子部長は「学童保育で農業体験をし自分たちのつくったものを調理し食べるだけではなく、販売も体験させた。ものを育ててそれを感謝しながら食べることで、子どもたちの農に対する理解度も深まり興味をもつようになる。食農教育は教育現場と一緒になってやらなければ」と農業現場と教育現場の横の連携が重要だと強調した。
 井澤議員は「学校教育の場で、自分たちで作り食べるようにするといいし、給食で地産地消し地域ぐるみで食育を進めていかなければならない」と語った。

◆意思決定の場に女性の意見を反映させるために

 「男だけに任せられないJA改革」というのが、この大会のサブスローガンだが、男女共同参画についても「女性枠で理事になっても女性は一人なので、意見も聞いてもらえない」(三重県・藤井やえこさん)。「女性は農業の重要な担い手だが、経営においては単なる労働力にすぎないことが多い。家族経営協定の締結も進んでいない。市町村合併で農業委員会やJA役員の女性枠も減っている」(JAぶんご大分・進藤和代女性部長)と女性の登用が進んでいないと指摘。JAあきた白神の佐々木さんは「3分の1は女性を入れなければ女性の意見は反映されない」と語った。
 北川助教授は「既存の枠組みとか習わしを打ち破るのが共同参画」だと指摘。上川議員は「意思決定する場に女性の声を反映させていくために、女性組織のネットワークを活かして情報を共有して、理事や農業委員の目標を設定して取り組んでは」と提案した。

◆協同組合を育むのは女性組織の活動

 会を終えて、西川議員は「農は国の礎。農業と女性の共通点は無から有を生むことにある。この崇高な使命に則ってともに頑張りたい」。上川議員は「農の現場を教室にして欲しい。地域を愛する心があっての地産地消だ。農を中心に地域全体で日本文化をもう一度思い起こす日本再生に大きな力となる」と語った。
 北川助教授は、女性議員に「農村地域は悲鳴を上げている。市町村やJAの合併で拠点が遠くなっているので、普通の農村の現場をみて考えて欲しい」。JA女性組織には「女性組織のメンバーであることをもっと自覚して欲しい。JA改革だけを進めていくと、協同組合という部分が縮小してしまうのではないか。協同組合をシッカリ育んでいくのが女性組織の活動であり、組合員の活動だ」と期待を語った。
 さまざまな意見が交換されたが、会場からの声は「食農」、壇上は「食育」というように、意識の違いがはっきり出ていた。とくに「小泉チルドレン」と呼ばれる1年生議員にそれが多くみられた。それはJA側からの発信がまだまだ弱いことの表れだといえるのではないだろうか。「発信しよう 私たちの活動と思い」というメインスローガンの実践こそこれからの大きな課題だといる。

(2006.1.27)


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