農業協同組合新聞 JACOM
   
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「生産・販売の多様化に対応する多元的な事業システムの構築
新生全農 園芸事業改革基本方針を策定 (2/14)

 JA全農は平成17年度第2回園芸事業委員会(委員長:佐藤俊彰JA東もこと組合長)を開催し「新生全農 園芸事業改革基本方針」を審議し確認した。
 この「基本方針」は、新園芸事業改革構想(17年4月の園芸事業委で審議)、経済事業改革中央本部委員会および販売事業等検討委員会での検討・とりまとめ、「新生全農を創る改革実行方策」および昨年12月に農水省に提出した「改善計画」の3つの検討を統合・整理したもの。
 図は「基本方針」のポイントをまとめたものだが、最大のポイントは「生産・販売の両面の多様化に対応する多元的な事業システムへの改革をはかる」をために、パートナーとなる卸売市場を見極め「卸売市場販売の重点化と効率化を進め、その経営資源を生産基盤対策=担い手対応や“直販”などにシフトする」こと。特に「直販」の拡大や輸入青果物に対抗するための加工・業務用販売を強化するとしていることだ。そのためのに統合全農としての「直販事業拡充戦略(計画)」を18年度上期に策定する。
 また「直販」の範囲についてJAグループ内でも統一されず混乱が見られるとし、▽実需者への直接販売だけではなく、代金決済・物流・営業など卸売市場などの機能を活用した販売が現実的かつ有効。▽大消費地から遠隔にある産地が実需者へ直接販売を拡大することはコスト面などからみて非現実的。▽直販拡大の目的はリスク・責任をもった販売への転換、中間流通コスト削減、「顔の見える取引」への転換にあることから「直販」は「卸売市場への無条件委託販売」に対置するものとして位置づけた。
 そして、消費者への直売、実需者への直接販売に加えて、卸売市場の商流・物流機能などを活用した実需者への販売、仲卸からの発注にもとづき価格・数量などを卸売会社と事前取り決めした業者販売までを「直販」と定義。20年度には全国本部・県本部合わせた直販取扱高を3000億円(16年度1800億円)まで拡大する。

◆全国本部機能を再構築

 さらに「主に担い手育成の観点」から、契約取引・契約栽培を進め、担い手に販路・価格を明示した買取販売を拡大」するとし、買取販売目標を16年度の180億円から20年度400億円と2倍強の目標を掲げた。
 「基本方針」のポイントの二つ目は、園芸事業の特性から、「県を事業の基本」としJAと全農県本部が一体となった改革を進めるが、その一方で、販売環境が変化する中で県域だけでは解決できない課題が増加しているので、全国本部機能の再構築をはかり「加工・業務向け販売の拡大や国産青果物の消費拡大などの取り組みを強化」し、16年度150億円の加工・業務向け取扱高を20年度には300億円に拡大する。
 園芸事業は平成5年に卸売市場販売の「県域完結」を決定し、全農全国本部は青果センターによる直販事業と野菜制度対応などに特化してきた。それ以降、大きな変化がなかったが、経済事業改革の一環として園芸事業全般が見直され「基本方針」が策定されたことは意義深いといえる。しかし、具体的にどのように「担い手に対応」するのか。各産地JAがこの基本方針にどう対応するのか今後の展開に注目していく必要があるともいえる。

新生全農 園芸事業改革基本方針のポイント(図)
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(2006.2.14)


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