農業協同組合新聞 JACOM
   
農政.農協ニュース
総力をあげて「中期戦略」の仕上げを −第5回JAバンク大会

 JAバンクの第一線で優れた業績を挙げているJAと、役職員の功労を称え、一層の事業発展に向けて決意を新たにする第5回JAバンク全国大会(農林中央金庫主催)が2月14日、東京・赤坂プリンスホテルで開かれ、表彰式の後、受賞者ら約200人が「JAバンク中期戦略」の仕上げの年として「掲げた経営数値目標の達成をはかる」ことを誓う大会宣言を採択した。

JAバンクのイメージキャラクター 岡本綾さん
JAバンクの
イメージキャラクター
岡本綾さん
国際政治学者・浅井信雄氏が記念講演
国際政治学者
浅井信雄氏が記念講演
 大会で上野博史理事長は今年最終年度となる「JAバンク中期戦略」の柱の一つである「ローン伸長を柱とした収益力の増強」の取組み状況について「住宅ローンの伸長はある」ものの「JAバンクローン全体の目標達成は厳しい状況」にあるので「18年度末における諸目標の達成に向け、総力をあげた取組みにより、現行の中期戦略の仕上げをし、19年度からの新たな中期戦略につなげていかなければならない」と決意を述べるとともに、「これからの数年間がJAバンクの正念場であると認識し、緊張感を持った取組みが求められる」と挨拶した。
 この後、宮田勇JA全中会長が来賓を代表して祝辞を述べ、次いで中期戦略などの実践で優れた業績をあげた36JAに表彰状が、JAバンクの発展に功労した41名に感謝状が上野理事長から贈られた。
 表彰式の後、JAバンクのイメージキャラクターである女優の岡本綾さんが挨拶。国際政治学者の浅井信雄氏が「激動する世界情勢と日本の選択と題して記念講演を行なった。
 そして熊沢清大会宣言起草委員長(JAあしがら組合長・功労表彰者)が、JAバンクを取り巻く環境変化に的確に対応していくために▽経営の健全性確保▽経営数値目標必達▽農業担い手支援など顧客満足度の一層の向上という大会宣言を提案し、満場一致で採択した。
 JAバンクの17年12月末現在の貯金残高は79兆7039億円、同貸出残高は20兆6215億円でそのうち住宅ローンは3兆3853億円(16年12月末は3兆1142億円)となっている。また、全国の店舗数は1万0859店(17年12月末現在)で、ブロック別では北陸・東海が2522店ともっとも多くなっている。

JAバンク大会
上野博史 農林中金理事長 挨拶(要旨)

挨拶する上野理事長
挨拶する上野理事長

○金融情勢について。

 メガバンクが不良債権処理に目処をつけるなかで、金融行政の焦点が不良債権処理問題から、金融改革プログラムなどにもとづく利用者満足度の向上や組織の内部統制を重視した経営の確立へと軸足を移しています。また昨年10月には郵政民営化関連法案および銀行代理店制度の改正法案が成立し、今後の金融機関経営・店舗展開のあり方などが大きく変わる可能性があると考えているところです。
 このような状況を踏まえ、JAバンクにおいては、昨年に三菱UFJファイナンシャル・グループとのリテール分野における業務・資本提携に関わる基本契約締結、セブン銀行とのATM提携といった諸施策を実施しました。これらは、インフラやノウハウなどの面で他業態と手を結ぶところは手を結ぶことにより、利用者に対するサービス向上をはかると同時に、他業態や民営化郵便貯金との競争をも強く意識し、対応に着手したものです。

○農業情勢について。

 WTO農業交渉については、昨年12月に開催された香港閣僚会議において関税削減率などの数値を含む枠組みについての合意期限が本年4月とされ、その決着いかんによってはわが国の主要農産物に大きな影響をもたらすことになります。
 また国内では新たな「食料・農業・農村基本計画」の具体策として、「経営所得安定対策等大綱」が決定されました。これは価格政策から所得政策への転換であり、政策の対象を「担い手」に限定するという、戦後農政の一大転換であると認識しています。
 今後、JAグループをあげて担い手づくりと担い手に対する事業面の支援、集落営農の育成・支援にいっそう注力していくことが必要です。

○「JAバンク中期戦略」の取組状況について。

 現在の「JAバンク中期戦略」は、従来の事業戦略レベルから一歩踏み出した「経営・事業の総合的戦略」として、ローンの伸長による収益力増強、店舗再構築による効率性向上などを経営数値目標として具体的に設定し、JAバンク全体として取り組みを行なっているものです。
 しかしながら「ローンの伸長を柱とした収益力増強」については、皆様方のご尽力により、住宅ローンの伸長はあるものの、JAバンク全体の目標達成は厳しい状況となっています。18年度末における諸目標の達成に向け、私どもJAバンクは総力をあげた取り組みにより、現行のJAバンク中期戦略の仕上げをし、19年度から始まる新たなJAバンク中期戦略に繋げていかなければならないと考えています。
 JAグループ全体としては、第23回JA全国大会において経済事業改革をはじめとするJAの事業・経営全般にわたる改革を進めてまいり、本年で3年目を迎えました。10月には第24回JA全国大会が開催されることになっており、次期大会に向けた議案検討が進められています。JAバンクにおいても、このJA全国大会に呼応し、「次期JAバンク中期戦略」の策定に向けた検討を進めていくことにしています。
 昨今のJAバンクを取り巻く環境・動向はきわめて厳しい状況にあります。これからの数年間がJAバンクの正念場であると認識し、緊張感を持った取り組みが求められます。農林中央金庫としましても、JAバンクのさらなる発展のため、役職員一丸となって全力を傾注していく所存です。

大会宣言

 我々JAバンクは「JAバンクシステム」による経営の健全性確保に向けた着実な取り組みにより、昨年4月に全面解禁されたペイオフという大きな節目を全JAが乗り越え、顧客の信頼を確実に確保してきた。
 一方、これからの金融業界は、メガバンクがリテール強化を鮮明にし、郵貯の民営化も実施されるなど、リテール分野を巡る競争は一層熾烈化していくことになる。また、新BIS規制への対応や内部統制の強化など、コンプライアンスに裏打ちされたガバナンスの更なる充実が求められている。
 JAバンクがこうした環境変化に的確に対応していくためには、経営の健全性確保に引き続き取り組むとともに、農業担い手への支援、JAバンクローン伸長による収益力向上、店舗再構築等による経営・業務の効率化などを着実に進めていくことが必要である。
 我々JAバンクは、これらの施策を柱とした「JAバンク中期戦略」が最終年度を迎える本年を「仕上げの年」として取り組み、掲げた経営数値目標の達成を図るとともに、我が国農業の発展と地域への貢献という基本的使命を果たすことを誓い、以下のとおり宣言する。

 1、JAバンクが引き続き顧客の信頼を確保していくため、コンプライアンス経営の徹底等、信用事業実施体制の一層の整備による経営の健全性確保に取り組む。
 2、JAバンク中期戦略の仕上げの年として、JAバンクローン伸長と店舗再構築に一丸となって取り組み、経営数値目標の必達を図る。
 3、JAバンクに対する顧客満足度の一層の向上を図るため、農業担い手への支援強化、カードビジネスの展開、相続・遺言関連業務、高齢者・年金受給層サービスの充実等に取り組む。

【優績JA表彰】

優績36JAと功労者41名を表彰
優績36JAと功労者41名を表彰
 ▽北海道・JAふらの
 ▽青森県・JA十和田市
 ▽岩手県・JA新いわて
 ▽宮城県・JAみやぎ登米
 ▽秋田県・JA大潟村
 ▽山形県・JAあまるめ
 ▽福島県・JAそうま
 ▽茨城県・JAつくば市谷田部
 ▽栃木県・JAなす南
 ▽群馬県・JA館林市
 ▽埼玉県・JAくまがや
 ▽東京都・JAにしたま
 ▽長野県・JA佐久浅間
 ▽新潟県・JA十日町
 ▽石川県・JA小松市
 ▽福井県・JAはるえ
 ▽静岡県・JA遠州中央
 ▽岐阜県・JAはしま
 ▽愛知県・JA愛知みなみ
 ▽三重県・JA伊勢
 ▽滋賀県・JAレーク大津
 ▽京都府・JA京都中央
 ▽大阪府・JA茨木市
 ▽兵庫県・JAあかし
 ▽和歌山県・JAわかやま
 ▽島根県・JAいずも
 ▽広島県・JA広島中央
 ▽山口県・JA山口宇部
 ▽徳島県・JA阿波みよし
 ▽高知県・JA津野山
 ▽愛媛県・JA新居浜市
 ▽福岡県・JA福岡市
 ▽熊本県・JA熊本うき
 ▽大分県・JA杵築市
 ▽宮崎県・JA児湯
 ▽鹿児島県・JAグリーン鹿児島

【功労者表彰】

 ▽北海道・JAめむろ・辻勇専務
 ▽青森県・JA八甲田・成田國雄組合長
 ▽岩手県・JA新いわて・高橋秀男金融共済部長
 ▽宮城県・JA栗っこ・菅原章夫組合長
 ▽秋田県・JAあきた北・虻川景一組合長
 ▽山形県・JAやまがた・山川昭常務理事
 ▽福島県・JAたむら・石井博前組合長
 ▽茨城県・JA常総ひかり・澤田正彦理事長
 ▽栃木県・JAしおのや・伴瀬明郎組合長
 ▽群馬県・JA新田郡・金谷嘉一郎組合長
 ▽埼玉県・JA上尾市・山根信夫組合長
 ▽東京都・JA東京みなみ・阿川一会長理事
 ▽神奈川県・JAあしがら・熊沢清組合長
 ▽長野県・JA上伊那・征矢福二組合長
 ▽新潟県・JA白根市・高橋豊組合長
 ▽石川県・JA金沢市・岡本静夫組合長
 ▽福井県・JA三方五湖・藤原暁組合長
 ▽静岡県・JAなんすん・原國夫金融部長
 ▽岐阜県・JAにしみの・藤井稔組合長
 ▽愛知県・JAあいち豊田・奥田克也組合長
 ▽三重県・JA鈴鹿・柿本良樹常務理事
 ▽滋賀県・JAマキノ町・菖蒲貞雄組合長
 ▽京都府・JA京都やましろ・永江幸司組合長
 ▽大阪府・JAグリーン大阪・中田直良組合長
 ▽奈良県・JAならけん・桝井利行常務理事
 ▽兵庫県・JAみのり・正木哲夫専務
 ▽和歌山県・JAみなべいなみ・鈴木操組合長
 ▽鳥取県・JA鳥取西部・桑本富收常務理事
 ▽島根県・JAくにびき・太田紀道組合長
 ▽広島県・JA安芸・伊藤忠治組合長
 ▽山口県・JA南すおう・横山哲彦組合長
 ▽徳島県・JA徳島市・西岡憲一参事
 ▽高知県・JA南国市・佐々木武男組合長
 ▽愛媛県・JA今治立花・小川晴夫組合長
 ▽福岡県・JA福岡みやこ・西元博吉常務理事
 ▽佐賀県・JA白石地区・川ア吉幸常務
 ▽長崎県・JAながさき県央・野中彌三組合長
 ▽熊本県・JA菊池・上村幸男組合長
 ▽大分県・JA安心院町・田口憲司常務理事
 ▽宮崎県・JAえびの市・伊集院國光理事金融部長
 ▽鹿児島県・JAいぶすき・生見詮治組合長

(2006.2.17)


社団法人 農協協会
 
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-1-15 藤野ビル Tel. 03-3639-1121 Fax. 03-3639-1120 info@jacom.or.jp
Copyright ( C ) 2000-2004 Nokyokyokai All Rights Reserved. 当サイト上のすべてのコンテンツの無断転載を禁じます。