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農水省の考え方を説明する栗原室長 |
全国産直産地リーダー協議会は2月27日、JAビルで『農地・水・環境保全向上対策』について、農水省との意見交換会を開催した。
「経営所得安定対策等大綱」では、農地や水など資源や環境の保全向上をはかるために『農地・水・環境保全向上対策』を新たに創設し、化学肥料、化学合成農薬を大幅に減らすなど、環境にやさしい農業への取り組みを支援することにしている。19年度からの本格的な実施を前に、18年度から全国のモデル地区で「共同活動への支援」を始めることにしている。
しかし、集落営農、経営所得安定対策、米政策改革、有機農業推進立法など、それぞれの分野での政策が具体化する中で、情報が非常に錯綜し現場ではその内容を的確に把握することが難しい面があるといえる。そこで『農地・水・環境保全向上対策』について国の考え方を聞くと同時に、生産者の意見も反映させたいと意見交換会が開催された。農水省からは環境保全型農業対策室の栗原室長などが出席した。 ■共同活動をベースに営農活動も支援
栗原室長は「農村の混住化が進み非農家が増えてきたことや高齢化により、昔はみんなで行っていた水路の管理などが困難になってきている。そこで、農民以外の地域住民を巻き込み農業環境の整備を行うことで地域の農業を守る活動を支援(共同活動への支援)し、共同活動への支援が行われている地域で、ある一定のまとまりをもって化学肥料や化学農薬の使用を減らすなどの取り組みに対しては、営農活動の支援を行なう」と、この対策の主旨を説明。
また、農水省としては国民の食料に対して責任を持つ立場から、生産力が低下する栽培方法、技術などを奨励することはできないとしながらも、「冬に田んぼに水を張って雑草の発生を抑えるなど、化学合成農薬や化学肥料に変わる技術を使って一定の生産量を保つような取り組みには支援を行なう」とも述べた。
会場からは、「土地改良事業などで国が作った施設(水路など)は、国が維持管理してほしい」「以前から有機農業に取り組んできて、地域は異なるがグループとしてかなり強固な結びつきができている。担い手として、集落営農だけでなくそうした個人、グループも位置づけて欲しい」などの意見が出された。
また、国はこの対策に地方自治体の負担も求めているが、山形おきたま産直センター代表理事組合長の平田啓一氏は「住民の意向があるにもかかわらず、地方自治体が財源不足ということで環境対策が不発に終わることはないのか」と質問。それに対し「確かに地方自治体は財政的には苦しいと思うが、国が強力に地方自治体にお願いをしてこの対策を実施したいと」と、農水省の考えを語った。
環境にやさしい農業への取り組みは、生産者と消費者が一緒になって行なっている「田んぼの生き物調査」などを中心に広がっている。しかし、この対策を進めていくためには、会場からも指摘されたように財政的に苦しい地方自治体を国がどう説得するのか。また、有機栽培農業に取り組む個人やグループと集落との関係などをどう位置づけるのかなど、多くの課題がこの意見交換会で明らかになったのではないだろうか。
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