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農政.農協ニュース

担い手のメインバンクを目指して 金融リーダー全国大会で人材育成へキックオフ　−農林中金　（２/27）

初めて開かれたＪＡバンク担い手金融リーダー全国大会＝２月27日、東京・品川プリンスホテル 　担い手金融の強化に向けて実務リーダーの育成や業務の活性化、そのネットワークづくりを支援するため農林中金は２月27日、都内で「ＪＡバンク担い手金融リーダー全国大会」を開き、ＪＡバンクを「担い手のメインバンク」にしていくことなどを確認した。同リーダーの登録目標は当初1000人だったが、現在これを超える1019人がＪＡ、信連、農林中金に設置されて意欲的な取り組みをしている。この日は、ＪＡの部課長クラスなど200人近くのリーダーが参加。初の全国キックオフ大会ともなった。今後も年一回程度開いていくという。 　大会では、事業を拡大してきた過程で、ＪＡに融資を断られ、ＪＡ離れを起こすに至った農業生産法人グリンリーフ株式会社(群馬県)の澤浦彰治社長が講演し、同社の農協金融との関わりを否定面を直視しながら生々しく語った。 　同社はコンニャクイモや葉物野菜などの有機栽培とコンニャクや漬け物の加工などをしており、先進的経営として評価されている。 　しかし法人化以前はコンニャクイモ作り中心の農家で、平成２年にはイモ相場の大暴落などから、借金がかさんだため「コンニャク加工に手を広げた」という。 　一方、澤浦さんはＪＡの金融担当職員Ａさんの助言で、高い金利の借金を返し、ＪＡからの低金利融資に切り替えた。また加工の機械を現金で買おうとしたが、Ａさんに「近代化資金を使ったほうが有利」と教えられた。 　こうして「Ａさんは、うちの不良債務を健全債務へと変えてくれ、私を助けてくれた」と語り、「Ａさんのような職員こそ担い手金融リーダーといえるのではないか」と澤浦さんは指摘した。 ◆金融専担者の育成を 　ＪＡバンクはリーダーの役割の第一に、農業者の資金ニーズに対し、制度資金とプロパー資金の中で最も適切な資金を選び「資金をコーディネートする」ことを想定として挙げている。 　しかし講演は、そのあと、ＪＡの人事異動で金融担当がＢさんに代わってからは、過度に担保や保証にこだわるような対応に変わり、スーパーＬ資金や運転資金の融資を申し込んだが、断られたいう。しかしＪＡが拒否した案件でも信金ではＯＫとなり、以後、会社はぐんと伸びたとのことだ。 　また今は地銀の貸出攻勢も目立ち、計画書と決算書の提出だけで運転資金を貸してくれる状況も挙げた。 　農産物加工は棚卸資産と売掛金が多く運転資金に困っている農業法人が多いが、担保を求めない地銀がその需要を取り込めば、ＪＡ離れがさらに進むのではないかとも警告した。 　担い手づくりには金融担当の人材が切実に求められるというテーマを体験を通じて語った同社長は、最後に「金融の専担者を育ててほしい」とＪＡに要望した。 　次いで�潟Oッドテーブルズの山本謙治社長の講演「日本農業の現状と今後の方向性」があった。 　これに先立ち主催者あいさつで農林中金の上野博史理事長は「農業と農業金融を取り巻く情勢の急激な変化に対応してＪＡバンクも変化し、そして進化していかなければならない」として「より高度な金融サービスを提供していくためにもリーダーの機能発揮が強く求められている」と強調した。 ◆ＪＡバンクの総合力を発揮して 　来賓祝辞では農水省経営局金融調整課の山口英彰課長が「地銀は農業向け融資にかなり力を入れてくる状況にあり、競争激化の中で農協の融資機能を強めていく必要がある」と指摘。 　「水田部門だけでなく、畜産・果樹部門など従来から担い手が生産構造の中心となっている分野についても農協の役割を充分に意識してＪＡバンクの総合力を発揮してほしい」と要望した。 　またＪＡ全中・基本農政対策部の富士重夫部長は19年産からの直接支払い制度スタートを前に麦の場合、今秋の種まきまでに担い手づくりを急がなければならず、今後は「現場最前線の取り組みを進めることが重要で、本日の大会が現場の担い手づくりの支えになることを期待する」と述べた。 　最後に「農業が変わる。ＪＡバンクが変わる」と題して農林中金農林部の岡本司部長が総括的な報告交流会では担い手金融リーダーのネットワーク構築などを話し合った。 　岡本部長は報告の中でリーダーの役割について「資金コーディネーター」として活動することなどを挙げ、今後、とくに必要となってくる役割としては▽集落営農組織づくりに対して助言や提言をするコンサルティング機能の提供▽系統内の農業法人をより強固にグリップするとともに、系統外に流出している法人を呼び戻すために貸出新商品を推進することなどを説明した。

（２００６．３．６）

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