(財)日本穀物検定協会は3月24日、理事会および評議委員会を開催し、18年度事業計画、18年度収支予算を報告した。
18年度は協会発足以来実施してきた政府米の入庫検定業務が17年度で廃止されるなど、米穀検定業務の環境が大きく変わり、米穀関係の業務の大幅な見直しが迫られている。また、16年度から実施している「米の情報提供システム」についても、米の販売環境が厳しいことからなかなか業務拡大が難しいことが見込まれる。輸入農産物などの検査・検定等の業務については、他の検査機関との競合が激しくなってきており、検査数が減少してきている。しかし一方、安全性分析等の業務については、ポジティブリスト制移行に対応して分析体制を整備・拡充してきており、今後積極的に対応し、前年度を上回る業務量が確保できる見込み。そのような状況から、18年度の事業活動収入は46億307.1万円を予定し、前年度に比べ約1億円(9977.3万円)の減収が見込まれる。
そのため、協会の運営については、▽人員削減等による経費節減、▽理化学分析業務に積極的に対応するなど業務の開発、▽研修の実施および人材育成、を重点事項に組織や業務の抜本的な見直しをはかり、効率的な業務の推進と経費節減に努める。
■入札制度移行により検定受注が激化
協会の中心業務である検定業務については、業務量の減少傾向が続くなか、18年度の計画について、主な業務については以下の通り。
○米穀関係
低温保管・流通が一般的になったことなどで18年度から政府米の入庫検定の廃止、「全農等系統米」について18年度から、希望する県本部のみの検定となったことなどから、前年度実績を相当程度下回ると予想される。なお、米穀販売事業者等からは、仕入れ先の多様化、農産物検査の民営化、ポジティブリスト制移行などに伴い、協会に対しては多様な要望があるが、業務量の拡大にはなかなかつながらない。
○農産物検査関係
農産物検査は18年度から完全民営化され、協会も全国組織の第三者登録検査機関となる。国内農産物検査は前年度、34都道府県・約19万トンの実績であったが、今後も効率的な検査体制を整備し対応していく。また、18年度から産地JA等との間で検査業務の協力・連携を進めると同時に、大規模生産者グループなどからの検査依頼にも対応できるように、体制を整える。また、外国産農産物検査については、積極的な受注活動を行う。18年度は、前年度を若干上回る見込み。
○輸入雑穀類検定
畜産経営の厳しい経営環境を反映して飼料需要が伸び悩み、飼料用の主原料および副原料とも輸入数量が低迷。また、輸入商社や食品・飼料メーカー等は輸入リスクの増大や受注競争の激化の影響を受けることなどから、前年度実績比べ、若干減少が見込まれる。なお、18年度は「改正港湾運送事業法」が施行され、検量業務等が許可制になるため、新規参入による受注競争の激化が予想される。
○理化学分析
ポジティブリスト制移行に対応できるよう新規農薬の分析法の開発を進めるとともに、残留農薬、微生物検査等の分析業務の他、オクラトキシン等のカビ毒分析業務についても積極的に取り組む。また、米のDNA鑑定については、SNPs法、RAPD法を用い、迅速かつ積極的に取り組んでおり、18年度においても(株)植物ゲノムセンターとの技術協力により鑑定できる品種の拡大等に努める。
この他、品質・理化学検定は、安全性の確認などに関する依頼が増え前年度を上回り、飼料証明や包装証明、食品検査関係についてはいずれも前年度を下回ることが見込まれている。 |