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不備認め答弁書作成でルール作成 −省全体の責任、農水省 (4/7)


 1月30日の衆議院予算委員会で民主党の川内博史議員が指摘した米国産牛肉輸入再開手続きに関する答弁書と実際の対応との食い違いについての調査結果を農水省が4月7日に公表した。
 川内議員は昨年10月に提出した質問主意書で米国産牛肉の輸入再開にあたっては、再開前に米国の輸出体制を調査すべきとして政府の対応を質した。これに対し政府は「輸入再開前に、また、輸入再開後も……定期的に現地調査を実施することが必要と考えている」と答弁書で回答。答弁書は11月18日に閣議決定された。
 しかし、11月22日の米国との話し合いのなかで、実際には日本向け輸出プログラムに合意した輸入再開決定後でなければ、認定施設で輸出プログラムが動き出さないことなどが示され、農水、厚労省は再開前の調査には意味がないと判断。そのため12月12日の輸入再開決定後に現地調査を行うことになった。
 こうした考え方の変更は閣議決定した答弁書に反するとして川内議員は予算委で追及したが、政府は、答弁書は輸入再開前の調査の必要性についての認識を答えたもので「必ずしも特定の行為をなすことを決定したものではない」としていた。
 ただし、中川農相は関係者への説明がなかったことなど農水省の問題点について調査するよう指示。大臣官房が中心になって答弁書の作成に関わった29名の職員からヒアリング調査をした。
 その結果、問題となった答弁の原案は厚労省が作成したものであることから、農水省は「受動的な立場にあるという認識が終始あった」ことや、答弁書作成以降の考え方の変更についても、報道発表などで最新の情報を提供することに専心したため、変更についての説明の必要性の意識が薄く、答弁書の内容に常に意識して行政事務を行うべきことも関係者が十分に認識していなかった、とした。
 また、答弁書の提出後に内容の変更があった場合の伝達方法についてルールが存在しないことから、説明責任があるとの自覚が欠けていたと報告した。
 調査を受けて農水省は今後、答弁書の作成にあたっては、農水省が原案を作成せず他省から協議を受けるものであっても、作成責任を負うことを再確認させ、担当局庁と大臣官房による複層チェックなど、質問主意書の重要性について徹底と変更についての関係者への丁寧な説明を指導する。
 また、答弁書作成にあたって他省が原案を作成したものも含め、答弁の内容が従来の方針を変更するものか、従来どおりのものか、などを各質問ごとに明らかにした資料を作成し、省内で十分に説明するなどルールを作成した。
 この問題について、石原事務次官は10日の記者会見で「個人の責めに帰すべき事柄ではない。農林水産省全体としてこういう対応したことについては誠に遺憾だと思っている」と述べ、中川農相からも質問主意書の取り扱について細心の注意を払うよう指示があったため、各局庁の長あてに通知文書を出したと話した。

(2006.4.12)



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