JA全中は4月11日、経済事業改革中央本部委員会を開き、19年産から米などの販売事業改革実践めざし課題を整理した。
JAグループの販売事業は、各県ごとに実態が異なることから県域ごとに改革策を打ち出す方向で進められている。しかし、中央会に新たな課題に取り組む余力がないことや、米穀事業では全農の米穀事業改革に基づいた県域での検討事項が決定されていないことなどから、検討を開始しているのは13県にとどまっている。
このため同日の本部委員会では、全中の経済事業改革推進部による(1)県域での中央会、県本部の協議への参画、(2)中央会が実施する現状把握などの支援、(3)県域での販売事業改革検討会への参画など県での取り組みを促進するための支援を行うことを決めた。
◆JAが組合員に提起する事項を明確化
米の販売事業改革では、統合全農として一元的に取り組む事項は全農内で決定し統合県域では個別に取り組む事項に限定する。これには集出荷施設の収支改善や県内流通米の販売戦略などが上がっている(表)。
また、販売事業改革を進めるにあたってJAとして組合員に提起すべき事項を今後明確にしていく。
今のところ想定されているのは、JAの委託販売手数料の定額化や、検査手数料のあり方。検査手数料は行政が実施していた一律50円(60kgあたり)のままで共同計算から控除しているJAが多いが、民間検査への移行でJAも採算を考えることが必要となっていることから、今後は共同計算の外枠で徴収することを原則として手数料水準を提起していくことが必要だとしている。
また、19年産からの品目横断的直接支払い制度政策の導入にともない、申請代理事務をJAが行う場合の事務コスト相当の実費徴収のあり方や、麦の販売手数料のあり方を提起することも課題となる。
ただし、組合員にとってはJAから提起される事項とともに、県域の共同計算費用や全農の手数料の合計で手取りが左右されることになることから、県域の具体策、全農の方針とともに一括して提起することにしている。
また、園芸販売事業で全農は直販事業の拡充戦略を打ち出しているが、全農内に戦略プロジェクトを設置し18年度上期までに拡充戦略を明確にする。
一方、県域事業では▽市場販売の基本はJA、直接販売は県域集約▽市場販売の相当部分と直接販売を県域集約など4つの類型化を改革方向として打ち出しているが、先行して検討している県をモデルケースとして前倒して実施に移し、その成果を他県にフィードバックすることで改革の促進を図ることとした。6月に事例研修会を開く予定にしている。
こうした状況をふまえ、県域での園芸販売事業改革についての取りまとめは当初予定の6月が難しくなっているため、秋まで取りまとめ時期を延ばすことも決めた。
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