林野庁はこのほど、17年度の「林業白書」を公表した。
近年、台風等による山地災害が多発していることや、京都議定書の発効等で、森林の持つ多面的機能に対する期待が高まっているが、一方で間伐等の手入れが十分でないなど、森林の管理水準の低下が危惧される状況が見られる。特に、戦後盛んに行われた植林の結果、人工林の蓄積が進み多面的機能を発揮する力を備えてきているが、人工林は人の手が加わらなければ、その森林のもつ機能の維持向上が難しいが、現在必ずしも十分な手入れが行われてる状態にあるとはいえない。しかし、全国各地で森林ボランティアによる活動や、企業による森林整備が活発に行われるようになってきている。白書では、さらに多くの人が森林の持つ多面的機能の重要性を認識し、国民全体で支える森林づくりを進める必要性を強調しており、その具体的方策として、地域材の利用、森林づくりのためできることからの参加など、国民一人ひとりがそれぞれの立場で今できること提案している。
また、18年度の森林および林業施策については、温暖化防止など森林のもつ多面的機能を発揮させるため、長伐期・複層林施業や針広混交林化、広葉樹林化など多様で健全な森林づくりを進める。
地域資源を活かした新たなビジネスの創出や、居住地周辺の森林と居住環境基盤の総合的な整備、定住促進のための施設整備等、魅力ある山村づくりを進め、都市と山村の共生、山村の振興が述べられている。
また、林業の持続的かつ健全な発展を確保するため、効率的かつ安定的な林業経営を担い得る者を育成し、それらの林業経営が林業生産の相当部分を担う林業構造の確立に向け、施業・経営の集約化をはじめ、生産方式の合理化を進めるなど積極的な対応を勧めている。
その他、需要に対応した木材の安定供給体制の確立に向け、生産から消費まで一貫したプランニング、施業・経営の集約化、生産流通における低コスト手法の試行や、製材工場の大型化等を進める必要があることなどにも言及している。
|