民主党は議員立法で「ダイオキシン類に係る健康被害の救済に関する法律案(仮称)」を、今国会に上程予定で準備を進めている。
1968年に西日本一帯でPCBとダイオキシンの経口摂取による食中毒事件(カネミ・ライスオイル食中毒)が発生した。1万4000人を超える人々から被害届けが出されたが、法的裏づけのない診断基準に基づいて患者(913名)と非患者が選別され、1万2000人を超える人々が、未だに何らの支援措置も受けられずにいる。原因食品を摂取したことで食中毒になったことは当時の疫学調査で判明しており、食中毒被害を届けた人々については、国の責任で食中毒被害者として認定させることに、この法案の特徴がある。
法案では、食品を介したダイオキシン類に係る健康被害を厚労大臣が認定する。認定を受けたものが医療を受けた場合、医療費の支給、健康管理手当を支給する。また、死亡した人の遺族に対しても、その請求に基づいて給付金を支給するなどの内容が盛り込まれている。発生以来38年、被害者の高齢化が進んでいることから、今まで救済の手が差し伸べられなかった被害者を救済することが最大の狙い。
民主党は今国家での成立をめざしたい考えだが、政府与党も被害者への見舞金支給等を柱とした対案を提出する構えで、今後の情勢は不透明。
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