◆大きな感動を与えた受賞者の体験と抱負 《表彰式》
長年にわたって農協運動に貢献してきた人たちに贈られる「農協人文化賞」は、農協法施行30周年を記念して、昭和53年に(社)農協協会と本紙の共催で制定されたもので、今年で28回目となる。これまでの受賞者は、今回の4部門11氏を加えて、235氏となる。
今回の受賞者の選考にあたって今村奈良臣推薦委員会委員長(東大名誉教授)は、「農協運動の第一線で苦闘を繰り返しながら、新しい路線の開拓と事業、経営、組織の改革を目指して、たゆみない思索と実践を重ねてこられた方々に対して贈られるべきものであると考えている。そういう方々の英知と実践の蓄積をいかに農協運動の明日に活かすかというところに、農協人文化賞、その中でも一般文化部門の表彰にはかけがえのない価値があるものと考えている」という基本視点から11氏を選考したと「推薦経過」で語った。
5月29日に東京・大手町のJAビルで開催された表彰式には約100名が出席。中川敞行農協協会会長の開会あいさつに次いで、今村奈良臣同賞推薦委員会委員長(東京大学名誉教授)が推薦経過(別掲)を報告し、11氏を表彰した。次いで、前澤正一JA全中常務が、宮田JA全中会長の祝辞を代読。
その後、受賞者がそれぞれの体験と抱負を発表したが、「近来にない力の入った報告で、感銘を受けた」(今村委員長)というように、大きな感動を出席者に与えた。なお、特別賞を受賞した故山本修氏については、藤谷築次農業開発研修センター会長理事がその功績を報告した。
その後、佐藤喜作農協協会副会長が閉会のあいさつをし、表彰式を終えた。
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中川敞行 農協協会会長 |
今村奈良臣
東京大学名誉教授 |
佐藤喜作
農協協会副会長 |
◆協同組合運動の原点・人と人とのつながりをどう強化するのか 《記念パーティー》
表彰式後の記念パーティーには約200名が出席。中川会長のあいさつ後、今村委員長が推薦経過を報告するとともに、改めて受賞者を紹介。受賞者一人ひとりに会場から大きな拍手が贈られた。
来賓の前澤正一JA全中常務は「日本の文化は農業とそれを取り巻く人びとが共に生きていくために2000年以上かけて築き上げえてきた結晶。そして文化の原点は家庭に見出すことができる。しかし、農業も家庭も崩れかけている。JAグループは、日本人の文化を再興する責任がある」と挨拶。加藤一郎JA全農専務は「受賞者は、生産者と消費者を結ぶ懸け橋の先達である。いま、産業として農業が成り立つのかどうかの岐路にある。もう一度、協同組合の原点に立ち返って、受賞者の体験を読み直し、産業としての農業、文化としての農業を見直してシッカリと事業を進めていきたい」と挨拶した。
横井義則JA共済連常務は「受賞者の体験と抱負を読んで、農協や協同組合がいまいわれのない批判にさらされているが、それに毅然と立ち向かっていかなければならないと考えた」。尾崎玲農林中金常務は「信用事業には外圧があったが、受賞者は、そうした中で農協らしさを出すことに苦労をされてきた方々であり、これからも全国のJAをリード」していって欲しいと挨拶。山本昌之家の光協会専務は「JAへの組合員の結集、JAにおけるさまざまな事業への求心力を強化するためには、コミュニティーの場をいかに多彩にし活性化することにある。そのために、受賞者のさらなるご指導を」と挨拶した。
梶井功東京農工大名誉教授は「受賞者に共通することは、協同組合運動の原点である人と人とのつながりをいかに強化するかということにあったと思う。そういう協同組合精神を養っていくことが大事だということを伝えていくことにこの賞の意味がある」と語り、乾杯の発声をした。
その後、藤谷築次氏が特別賞受賞の故山本神戸大名誉教授功績を紹介しながら「山本先生の受賞は、私たち先生の弟子たちにとって共通の名誉であり、今後も一所懸命やっていきたい」と挨拶した。農協愛友会の谷碧氏が中締めをし、また、来年の再会を約して出席者は散会した。
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前澤正一 JA全中常務 |
加藤一郎 JA全農専務 |
横井義則 JA共済連常務 |
尾崎玲 農林中金常務 |
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山本昌之
家の光協会専務 |
梶井功
東京農工大名誉教授 |
藤谷築次
農業開発研修センター
会長理事 |
農協愛友会 谷碧氏 |
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