(社)全国食肉学校は6月5日、(財)日本相撲協会相撲博物館館長の納谷幸喜氏(元大相撲第48代横綱“大鵬”)を招き講演を行った。
同校は教育理念として『心豊かな人間形成』を掲げ、徳育教育にも力を入れている。今回の講演は徳育教育の一環として企画されたもので、−裸で学んだ人生観(自分らしく生きる)−をテーマに、納谷氏の生い立ちから、新弟子時代、大関、横綱から前人未踏の幕内32回優勝を飾り引退するまでを中心に、相撲人生を振り返りながら印象に残ったことや出会った人々などについて総合養成科、食肉販売科の学生を前に語った。学生のほとんどは納谷氏の現役時代を知らないため、ライバル達との勝負や社会福祉活動が評価され紫綬褒賞を受けた経緯などをまとめたビデオを講演に先立ち鑑賞した。横綱“大鵬”の相撲を初めて見た学生からは、その強さと相撲取りとしての美しさに感嘆の声が漏れた。
納谷氏は「私は相撲取りです。裸で人前に立つのは平気なのですが、スーツを着て人前で話すのはとても苦手。しかし、私の経験がみなさんの役に立つのであればと思い、今日ここに来ました」と、ユーモアを交えて挨拶した。講演では、「人を差別してはいけない。しかし、平等、対等ではない」、「人はそれぞれ素質を持っている。努力することによって必ず報われる」、「単純なことが一番難しい」などと、自分が行ってきた相撲の稽古と重ね合わせながら熱く語った。「入った以上はこの世界(相撲界)で骨を埋めようと決心した。基本が大切だと思い毎日てっぽう2000回、しこ500回を日課にした」と語りかけ、自らが選んだ道を基本を忘れずに邁進してほしいと学生をはげました。
最後に、納谷氏から学校に送られた“夢”と書かれた『書』について説明があった。「夢を持つことは大切なことだ。しかし、それを実現させる努力をしなければ夢ではない」と、夢の持つ意味を語り、学生の今後の努力に期待を寄せた。学生は昭和の大横綱に最初は緊張していたが、飾り気のない話しぶりに引き込まれ深い感銘を受けた様子だった。
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学校関係者も一緒に(左)時にユーモアを交えながら話をする納谷氏(右) |
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