今年は4月から日照不足や低温が続き、病害が発生しやすい状態になっているとして、農水省は防除適期をみきわめて的確に防除するよう、呼びかけている。
また、天候の1か月予報では、天気は北・東日本太平洋側と西日本では平年に比べて曇りや雨の日が多く、平均気温は北日本と東日本で平年並みか低く、西日本で平年並みと予想されている。
このような日照不足・低温傾向の天候は、葉いもちの発生しやすい条件となっているので、農水省は十分注意する必要があるとしている。
害虫では、果樹カメムシ類が平年に比べて多く発生しているので、果樹園への飛来を認めた場合は、直ちに薬剤散布をおこなう必要がある。
害虫防除にあたっては、天候の状況に注意しつつ、都道府県の発生予察情報に留意し、地域ごとの防除要否をみきわめて、適切な防除をおこなう必要がある。
また、5月29日に食品衛生法(昭和22年法律233号)にもとづく「ポジティブリスト制度」が施行されたことから、農薬の適正使用の徹底に十分留意するよう、農水省は注意をうながしている。
おもな品目の病害虫発生予報は、次のとおり。
〔稲〕
天候が日照不足・低温傾向になると予想されていることから、葉いもちの発生しやすい条件となっている。今後もこのような天候が続くと、関東、甲信、東海、近畿および中国の一部地域で葉いもちの発生が懸念されるので、十分な注意が必要。葉いもちの発生を認めた場合には、早期に薬剤を散布すること。
また、移植が済んでいる地域で水田に放置されたままの補植用取り置き苗は、いもち病の伝染源になるので、水田から早期に除去すること。
イネドロオイムシの発生は、関東および甲信の一部地域で「やや多い」、イネミズゾウムシの発生は、南関東、近畿および北九州の一部地域で「やや多い」、ヒメトビウンカの発生は、東海の一部地域で「やや多い」と予想される。
箱施用剤による防除を実施していない地域では、本田侵入に十分注意し、発生を認めた場合には、早期に薬剤を散布する必要がある。
海外飛来性害虫については、トビイロウンカの初飛来が福岡県で平年より49日早い4月30日、熊本県では平年より21日早い5月3日に確認されている。今後の飛来および本田での発生状況には十分な注意が必要。
〔麦〕
現在、開花期を迎えている北海道および東北で麦類赤かび病の発生が「やや多い」と予想される。麦の生育状況をみきわめて、開花最盛期(出穂のおおむね7日後)に1回目の薬剤散布をおこない、1回目の防除から7〜10日後に2回目の薬剤散布をおこなう。発生が続く場合には、雨の合い間を見て3回目の薬剤散布をおこなう。
チオファネートメチル(トップジンM)剤は、17年10月に農薬登録内容が変更され、出穂期以降の使用は1回まで、麦類(小麦を除く)で収穫30日前までの使用となっているので、十分な注意が必要。
赤かび病が発生したほ場では、赤かび病に侵された麦や倒伏したものは、別刈りし、健全なものと混合しないこと。収穫後は、麦を速やかに乾燥させるようつとめること。
〔野菜〕
(施設・雨よけ栽培)
今後、曇りや雨の日が多くなるため、湿度が上昇して病害の発生しやすい条件となる。施設周辺に排水路を整備して雨水が施設内に入らないよう留意し、作物の株間の通風をはかるなど、多湿にならないよう、施設を管理する。また、病害の伝染源となる罹病葉や罹病果は施設外に除去し、土中に埋めるなど、確実に処分すること。
まもなく栽培終期を迎える施設作物では、栽培終了後は、かならず施設の蒸し込み処理をおこない、施設の土中に生息しているアザミウマ類およびコナジラミ類のさなぎを殺虫する。
(路地栽培)
天候が日照不足・低温傾向になると予想されていることから、果菜類の疫病や灰色かび病が発生しやすい条件となる。ほ場観察をおこなって、早期発見につとめ、発生をみとめた場合は、薬剤を散布する。
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〔果樹〕
(果樹共通)
果樹カメムシ類の発生が全国的に多くなっている。既に1都2府17県で注意報が発表されている。例年、カメムシ類の被害が多い園地や山林に隣接した園地では、園内の観察をきめ細かくおこない、飛来が認められた場合には、直ちに薬剤を散布する。
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