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食料供給コストを今後5年間で2割縮減する目標を掲げた政府の食料・農業・農村政策推進本部の決定に基づく「食料供給コスト縮減検証委員会」の第1回会合が6月12日に開催された。
会合では委員の互選で委員長に上原征彦明治大大学院教授を選任。委員長代理には田中一昭拓殖大教授が選ばれた。
農水省は食料供給コストの縮減は、販売価格の引き下げによる輸入品との価格競争力の強化や、コストを引き下げた分を消費者ニーズに対応した付加価値を向上させるための投資に向けるなどの効果があると説明。また、消費者にとっても小売価格の低下による利益を得られることや付加価値の高い商品の提供が受けられる効果が期待できるとした。
そのうえで食料供給コストの検討対象をまず加工用原料も含めた生鮮品の供給段階までのコスト縮減を重点的に検証していく方針を明らかにした。対象とするのは▽労賃や生産資材費など生産段階の経費、▽包装・荷造材料費など集出荷段階の経費、▽人件費、運賃など流通段階の経費としている。
具体的なコスト縮減策としては、生産経費では▽低廉な生産資材の供給、効率利用、▽担い手による農地利用の集積、集落営農の組織化・法人化など生産効率化、流通経費では▽卸売市場の再編・合理化、▽商物分離による最適流通の実現、▽電子タグや通い容器などを活用した物流の効率化などをあげている。
また、集出荷経費や物財費の縮減などは、集出荷施設の整備や農協の経済事業改革の推進も課題としている。
会合では、国内農業の競争力を高めるにはどこのコストが関わるのかを検討すべきとの意見や、低コスト生産を実現している生産者、法人などからヒアリングする必要があるとの指摘などがあった。
また、JA全中の宮田勇会長は、集落営農の組織化など効率的な経営形態づくりや、技術開発による省力化といった生産段階での課題のほか、流通面では規格やロットなども検討の対象となると指摘。そのほか生産資材経費については、メーカー段階での製造コストも含めて検証が必要とも話した。
委員会は当面、農水省の施策の範囲で検討進めるが、燃料費や輸送コストなど他省庁が関連する問題について検証の過程で提言していく方針だ。また、生鮮段階までの検証の次は、食品加工・製造段階と外食産業についても検証を広げていく。
委員会は7月に2回開き、8月の第4回会合で「食料供給コスト縮減アクションプラン」をとりまとめる。
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