5月27日ジャワ島中部で発生した地震について、農水省は調査団を6月6日より13日まで現地に派遣した(6月8日付け既報)が、その調査結果と今後の支援対策をまとめ、概要を6月16日に発表した。
〔地域の特色〕
被災地の大部分は農村地域であり、被災者の多くは農民。
この地域は、1年のうちに水稲を2回、とうもろこし等の畑作物を1回の、年3作が可能な、インドネシア有数の穀倉地帯のひとつ。
だが、農家の耕作規模は20アール前後と、きわめて零細なうえ、小作が多いため、年収が数万円程度しかない、貧しい農民の多い地域である。
〔被害の状況等〕
被災農民の多くは、家を失っており、現在は壊れた家の後かたづけなどに忙殺されている。
水田の作物には今のところ特に目立った被害はみられないが、現在のような状態が続くと、早ければ1か月後、遅くとも3か月後くらいには、水稲の収穫や施肥などの栽培管理、新たな作付けの準備などに重大な影響が生じることが、懸念される。
かんがい施設については、基幹的な施設である頭首工(用語解説参照)や幹線用水路などの一部に被害が見られるが、特に緊急を要する基幹施設については、同国の国家予算で対応するという。
食料支援については、震災直後には配布体制に混乱がみられたが、現在はほぼ回復した。
〔農水省の今後の対応の考え方〕
今回の調査を踏まえ、同国農業省、州、県の農業担当部局や農業普及員との協力のもとに、現地の事情に精通した日本のNGOを活用して、きめ細かな被害調査やニーズ調査を速やかに実施する。また、調査のなかで緊急性が特に高いとされた農業資材(たとえば、収量の低下を防ぐための肥料)などについて、農民グループに対する支援をおこなう方向で検討する。
具体的には、FAO(国連食糧農業機関)への拠出金を活用し、支援をおこなう。
(用語解説)
頭首工=農業用水を河川から用水路に引き入れるための施設で、用水路の頭首部に設けられることからの呼称。一般には、取水位を調節するための取水堰、取り入れ口、付帯施設、管理施設で構成されている。
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