インド産マンゴウの生果実の輸入を解禁するようインドから要請されていたが、農水省は科学的、技術的な検討をおこない、さらに公聴会、パブリック・コメントなどの手続きを経て、病虫害の侵入のおそれがないことが確認されたとして、6月23日付けで輸入解禁に踏み切った。
インドには、日本で未発生の害虫で、マンゴウを始め多くの種類の果樹や果菜類の生果実に害を与えるミカンコミバエ種群やウリミバエ(用語解説参照)が発生している。これらのミバエ類の侵入を防ぐため、日本は、植物防疫法にもとづいてインドからの寄主植物の輸入を禁止している。
平成8年7月に、インド側は、アルフォンソ種などのマンゴウ生果実について、輸入解禁を要請し、平成17年3月までに蒸熱処理による殺虫試験データを提出してきた。
日本側の専門家がこのデータを検討した結果、インド側が開発した処理基準でミカンコミバエ種群とウリミバエは、完全に殺虫できると判断した。
この検討結果を踏まえて、平成18年3月から4月にかけて、日本の専門家をインドに派遣し、現地調査によって、インド側の試験方法や手順、処理基準に問題がないことを確認したという。
このため、インドが開発した蒸熱処理により、インド産マンゴウの6品種(アルフォンソ種、ケサー種、チョウサ種、バンガンパリ種、マリカ種、ラングラ種)の生果実に寄生したミカンコミバエ種群とウリミバエは、完全に殺虫され、輸入を解禁しても、日本にこれらのミバエが侵入することはないとの結論に至ったという。
輸入解禁のおもな条件は、次の4項目。
- インド植物防疫機関が、濃密な病虫害防除がおこなわれる地区として指定した地域で生産された、アルフォンソ種、ケサー種、チョウサ種、バンガンパリ種、マリカ種、ラングラ種のマンゴウの生果実であること。
- 輸出前に、飽和蒸気を使用して、庫内温度を段階的に50℃以上になるように設定し、生果実の中心温度47.5℃以上で、20分間蒸熱処理されたものであること。
- 再汚染防止措置が講じられるとともに、所定の輸出検査を受けたものであること。
- これらの条件の的確な実施を、日本の植物防疫官が確認していること。
(用語解説)
ミカンコミバエ種群:体長7mm位の小型のハエの一種で、かんきつ類などの生果実の大害虫として知られる。この虫が果実に寄生すると、腐敗・落果し、ひどい場合には収穫皆無となる。
発生地域は、台湾、中国、東南アジア、ハワイ、インドなど。
おもな寄主植物は、かんきつ類、マンゴウ、スモモ、カキ、パパイヤなど。
ウリミバエ:体長8mm位の小型のハエの一種で、キュウリ、カボチャ、ニガウリなどのウリ類、インゲン、ピーマン、パパイヤ、マンゴウなどの果菜類生果実の大害虫として知られている。
この虫が果実に寄生すると、腐敗・落果し、ひどい場合には収穫皆無となる。
発生地域は、台湾、中国、東南アジア、ハワイ、インドなど。
おもな寄主植物は、キュウリ、メロン、カボチャ、ニガウリ、インゲン、トマト、ピーマン、なす、パパイヤ、マンゴウなど。 |