農林漁業金融公庫が6月28日に発表した平成17年度の融資実績は、2507億円(対前年度比77%)となった。
融資先は、農林漁業や食品産業を営む4974先の9656件で、農林漁業別の内訳は、農業関係1418億円(同95%)、林業関係資金359億円(同36%)、漁業関係資金116億円(同118%)、加工流通関係資金613億円(同91%)となっている。
全体の融資額が前年度より減った理由は、農業では自然災害などによる減収の補てんのための資金や、既往の負債の償還負担軽減のための資金が減ったことによるもの。林業では、長伐期施業などへの施業の転換のための資金などが減少したことによる。
しかし、新たな食料・農業・農村基本計画に即して、担い手農業者に対する支援を重点的におこなった結果、地域農業の担い手である認定農業者の経営改善を支援する農業経営基盤強化資金(略称:スーパーL資金)は、646億円(同108%)で、50億円増加した。
17年度融資実績の主な特徴は、次の通り。
▽認定農業者の経営改善を支援
効率的で安定的な農業経営をめざす、認定農業者の経営改善の実現に必要な長期資金としてのスーパーL資金は、畜産分野の農業法人の大型投資などにより、前記の通りの実績となった。
スーパーL資金は、平成6年の創設以来、累計の融資先数は、2万6102経営体となり、認定農業者全体に占めるこの資金の利用者割合は、13%(うち法人は35%)となった。
▽新たな農業参入希望者への支援
新規就農や異業種からの参入をめざす人に対して、事業計画へのアドバイスや各種情報提供をおこなう農業新規参入融資相談窓口を全支店に設置し、177件の相談を受け付けた。このうち23件に対して8億円を融資した。これは、17年度からの新たな取り組み。
▽民間金融機関の農林漁業金融への参入支援
民間金融機関との業務協力を推進し、業務協力先を窓口とした認定農業者向けのスーパーL資金との協調融資額は、231億円(対前年度比129%)と増加した。
(用語解説)
認定農業者制度=経営規模の拡大や集約化、複合化などによって、魅力ある経営づくりをめざす意欲のある農業者(農業法人を含む)の農業経営改善計画を、農業経営基盤強化促進法第12条の規定に基づいて市町村が認定し、農業経営改善計画の実現を関係機関が支援する制度。
認定を受けた場合の支援措置は、(1)農用地の利用集積の支援、(2)税制上の特例、(3)融資面の配慮、(4)研修等の実施などがある。
家族経営で、実質的に共同経営者として役割を担っている家族も、共同申請者として認定申請をすることができる。この場合は、(1)同一の世帯に属する者であること、(2)家族経営協定などが締結されており、収益の帰属や経営への参加が明確になっていること、(3)家族経営協定の取り決めが守られていること、が必要。
共同申請者となることにより、女性農業者や農業後継者が単なる補助労働者としてではなく、共同経営者として、意志決定に参画することができる。
平成17年6月末現在の認定農業者数は、19万1926経営体(うち法人が7982)。
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