(社)全国食肉学校の食肉販売科第17期生の卒業式が7月15日、同校大教室で行われた。
「諸君は4月7日の入学以来、学習日数77日、学習総時間数513時間の課程を修了し、今日卒業式を迎えました。食肉衛生管理などの学科、実践実技講座、プレゼンテーション技法習得をめざした発表会など、密度の濃い学習内容ではなかったかと思います。規則正しい寮生活のもと、本校の理念である▽心豊かな人間形成、▽産学協同による実践教育に全役職員で対応し、生活の規律や仲間との連帯感など多くのことを学んだ3カ月半だったのではないでしょうか。また、これからビジネス活動を担っていく諸君に『常に学ぶ心を忘れないようにしよう』を思い出してほしいと考えています。ビジネスに結びつけるには知識を知恵に変えることが求められています。知識を知恵に変え、企業活動を通じて、各地域で社会貢献と自己実現に奮闘することを期待しています」と多田重喜学校長は、卒業生を激励した。
18名の卒業生一人ひとりに、学校長から卒業証書が手渡された。卒業生は卒業証書を受け取りながら、学校長からかけられた声に力強く返事を返していた。
その後、優秀賞などの表彰、農林水産省生産局長賞などの褒賞が行われた。それぞれの賞を受けた卒業生は、晴れがましい顔で各賞を受け取った。
卒業生を代表して川村啓太郎さんが、「就学期間中、私たちは食肉の専門知識と実践技術を学び、全寮制のもと規則正しい生活を送り、総合養成科のみなさんと大いに交流をはかったことが思い出されます。私たちは卒業後、消費者と生産者に喜ばれる食肉業界のため、食肉学校の卒業生として活躍することを誓います」と、3カ月半学ぶ機会に恵まれたことを学校の全教職員、各派遣先に感謝し、言葉を結んだ。
卒業生一人ひとりが前に進み出て1分間スピーチを行った。「最初は不安だったがあっという間の3カ月半だった」、「学んだ知識と、一緒に生活した仲間が財産」、「これからの仕事に自信がもてるようになった」など、各自の思いを語った。
食肉販売科18名は卒業後、各派遣先企業等に戻り以前と変わらぬ日常業務に励むことになるが、食肉学校で学んだ知識や培った人間関係を生かしての活躍が大いに期待される。
食肉の販売促進などテーマに
卒業記念発表会を実施
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(社)全国食肉学校は7月14日、食肉販売科卒業記念発表会を開催した。この発表会は、18名の食肉販売科学生が4月7日の入学以来の学習成果を集大成し発表する場として開かれるもの。1班6名としA、B、Cの3班に学生を分け、班ごとにテーマを決めて発表した。
A班は「食肉販売促進の戦略と戦術〜高齢者へ食肉商品を売り込め〜」をテーマに発表した。
急速に進む高齢化社会を迎え、「これから高齢者の仲間入りする人たちは若い頃から肉食に親しんできた人たちで、今後は高齢化の進展と同時に食肉のマーケットが広がる可能性がある」とマーケット拡大の可能性を、65歳以上人口の今後の推移を示しながら説明した。▽柔らかく安全・安心なもの、▽調理に手間のかからないもの、▽少量販売などを販売戦略としビジネスチャンスを広げようと訴えた。
B班は「団塊世代(55歳〜59歳)に国産牛肉・豚肉を売り込め」がテーマ。
価格面では高い国産肉がなぜ必要かを、今後の食料難の可能性、自給率向上の観点から説明。唯一1000万人を超える人口を持つ団塊の世代は、子育ても終わり経済的に余裕があるため価格が高めの国産肉でも美味、安全・安心の観点から購入する。国産牛肉・豚肉を使ったすね肉のすき焼き、ハリハリ鍋など具体的な料理を提案して、マーケットの拡大をめざすことを発表した。
「食肉販売促進の戦略と戦術」をテーマに選んだC班は、食肉に対する不安から年々消費の減少傾向が続くなか、的確な情報を与えることで消費者の不安を解消し、消費を伸ばす試みを発表した。
食肉購入時、販売員に何らかの情報を尋ねたことがある人はわずか10.8%で、有効な情報伝達が重要であるとしている。売り場での対話形式の情報伝達や調理法などの具体的提案が求められており、売り手の情報の“質”が問われる。販売促進は人と人のつながりのなかで、達成されるとのことだ。
各班1人約5分間の発表時間で、リレー式に6人でテーマに沿った説明を行った。
最優秀賞A班、優秀賞B班、努力賞C班という結果だった。「各班とも学習効果については結果を出していた。また、過去の発表会に成果を発揮し、全体的に良かったと言える。あえて順番をつければこのような結果になるのだが、差がついたのはチームワークの違いが表れたと思います」、多田学校長はこの成果を派遣先に帰ってから活かしてほしいと講評した。
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