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農林水産物輸出促進テーマにフォーラム
−食・農・環フォーラム (7/18)


講演する安藤氏
講演する安藤氏

 『農林水産物輸出への取組み』をテーマに、「食・農・環フォーラム」学習会が7月18日、JAビル全中大会議室で開催された。
 講師の農水省大臣官房国際部貿易関税課輸出促進室長の和泉真理氏は、「昨年4月、官民一体で農林水産物の輸出促進を行う『農林水産物等輸出促進全国協議会』が発足し、21年度目標に輸出金額6000億円をめざす。17年度の実績は、前年度比12.1%増の3310億円で、過去にない伸び率であった」と、官民一体で輸出促進を進めた効果が現れたのでと語った。輸出品は、水産物が43.7%と半分近くを占め、以下各種調整食料品(即席麺、チョコレート菓子など)24.9%と続き、果実や野菜類はそれぞれ数%。輸出先国としては、米国21%を除けば香港20%、中国17%、台湾15%、韓国14%、タイ、シンガポールとアジアの国々が続く。
 「輸出促進に向けた戦略的取組みとしては、国・地域別の輸出戦略を策定し、輸出先国・地域でのサポート体制を整備する」として、▽日本食文化の海外普及、▽輸出産品を中心とした販売促進活動への支援、▽知的財産権やブランドの保護、などを国としてバックアップし輸出促進につなげたいと語った。

■全農の統一的な取り組みはこれから

 また、JA全農総合企画部輸出対策チーム安藤充氏は、「国内農産物の輸出は、全農が取り組んでいる安全で売れる農産物づくりを通じて日本の農業、農村、農家を守ることにつながり、日本の農業生産技術や高品質な農産物の評価を問いかけ、日本の食文化を伝播することになる」と、全農グループの考え方を説明。全農は昨年11月、経営役員会に「国産農畜産物輸出促進委員会」を設置することが決まり、本年4月から総合企画部に輸出対策チームを設置し、国産農畜産物の輸出に向け本格的な活動を始めた。現在は各県本部の取組みを調査し取りまとめている段階で、全農として輸出に向けた統一的な取組みはこれからだ。しかし、米については以前から全中が中心となり、量的にはわずかだが香港、シンガポール、台湾などへ輸出を行っている。
 「今後は、作物別選定基準の策定、産地JAとの協力体制の確立などに取組み、米と同時に農畜産物全般の輸出を進めていきたい。また、国際見本市や店舗での展示販売を含め、輸出候補国の市場調査を考えている」と、今後積極的に国際見本市等へ出店することなどをのべた。
 しかし、課題としては、▽決済条件を含め信用確認が必要、▽生産者コストや輸送コストが割高で、数量が小ロット、▽植物防疫等が非関税障壁となることなどを上げ、解決すべき問題が多いことを述べた。
 会場からは、「中国への輸出の今後の見通しについて」、「富裕層や贈答品だけでなく、日常的に食べるものにどうシフトしていくか」、「代金回収のリスクをどう回避するか」など、具体的な質問が出た。講師からは、「輸出先のより多くの人に日本の農林水産物が受け入れられ、リスクの少ない商売を行うには、全国協議会などを通じて正しい情報を把握することが必要だ」、とのアドバイスがあった。

(2006.7.28)

 

 

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