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川崎厚労相記者会見 |
政府は7月27日、米国産牛肉の輸入再開を決定したが、同日の記者会見で川崎二郎厚労相は輸入再開後にSRMが混入している製品輸入が明らかとなった場合は再び全面的に停止する考えを示した。
6月21日の輸入再開に向けた手続きについての日米合意では、輸入再開後に条件違反の事例が見つかった場合は、「違反の性質に応じた適切な措置を講じる」と玉虫色の表現となっていた。
この日の会見でも川崎厚労相は、輸入条件に違反した事例が再発した場合の対応について「今からどう判断するかをあらかじめ決めておくべきではない」としながらも、1月20日に発覚し輸入全面停止としたせき柱の混入事例について「(その事例と)100%同じなら、(全面輸入停止かといわれれば)そうでしょうね」と答えた。重ねて記者団からSRM(特定危険部位)の混入があれば輸入を全面停止するという意味かと問われ、それを認めた。川崎厚労相はこの日は中川農相がWTO交渉で出張中のため、臨時の農林水産大臣も兼務していた。
◆35施設中15で不備
米国産牛肉の輸入再開に向けて、厚労省と農水省は対日輸出認定全35施設の事前調査を6月24日から7月23日まで実施してきた。
その結果、35施設中、20施設はとくに問題が認められなかったことから米国側が対日輸出リストに掲載するとした。
そのほかの施設のうち14施設では対日輸出できない牛の唇の肉などの記載など、書類上の不備があったことから改善を指示し、13施設で是正措置が確認されたことから、これらも対日輸出リストの掲載することを決めた。
残りの1施設については企業合併で大幅に作業マニュアルを変更しているため、今後、米国側が査察を行い日本側が確認するまでの間はリストに掲載しない。
また、昨年の輸入再開時に輸出施設として認定を受ける前に出荷したことが1施設で判明したが、この施設については輸出プログラムが守られるかどうかを確認するため、通常は常駐しない米農務省の農業販売促進局(AMS)職員を一定期間常駐させ、監視と評価を行う。その後、さらに査察を行い遵守状況の監視と評価を行う条件付きで対日輸出リストに掲載される。また、日本側も実施状況の確認を行う。
◆6か月間を検証期間
条件付きも含めて合計34施設に輸出再開の手続きを認めたことになる。日本は今後、6か月は実施状況の検証期間とし、この間は35施設以外に新たに施設認定は行わない。また、1月20日までにすでに輸入され未通関となっている製品については、今後、新たに輸入された製品が一定期間中問題がないことを確認されたのち、全箱を開けてSRMが含まれていないかどうかを検査するという。
厚生労働省は、当面、輸入された製品について全箱を開けて確認するなど水際検査を強化するという。
昨年の輸入再開時には、事前の調査が必要だとの声は多かったが、米国側との協議で日本政府は見送った。今回は事前調査をしたが、不備が認められたのは15施設にものぼった。川崎厚労相は今回の事前調査は国民の要望を入れて行ったとし、昨年の輸入再開時に事前調査をしなかったことについては「国民の声のほうが正しかったかもしれない」と答えた。
今回の決定で輸入が再々開されることになったが、外食産業や加工品などでは原産地表示の義務づけはなく、国はガイドラインを示すだけで業界の自主的な取り組みにとどまっている。米国産牛肉に不安を持ち食べたくないとする人も多いが、知らない間に食べてしまっている事態を防ぐ法的な制度は整っていない。
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