農林漁業金融公庫主催による「アグリフードEXPO2006」が8月8日〜9日の2日間、東京ビックサイトで開催された。
アグリフードは、全国の生産者の魅力ある農産物、地元産品を活用した加工食品などを、スーパーなど売り手側のバイヤー等に紹介することで国産農産物の流通を活性化させることを目的に、食と農をつなぎその橋渡しを行う場として企画したもので今回が初めての開催。
生産法人、加工業者、業界団体等全国から290社・団体が出展した。出展者は野菜の加工品、特産の果物から作ったジュースや缶詰、プリン、また、自然の牧草だけで育てた牛肉、牛乳などそれぞれの目玉商品をブースに並べ、来場者に商品の良さをアピールしていた。商品を高く積み上げ、まず覚えてもらうことが第一だと、声をからして来場者に商品を売り込むブースも多かった。ブースの脇には主催者が用意した商談コーナーが設けられ、詳しい商品説明を受ける来場者の姿も目だった。
来場者は2日間で約5000人と、ほぼ目標通りだった。出展者からは「自分達の商品に関心を持ってくれる人が多くいたのに驚いた」、「トマトをサラダで食べるという自分達の視点とは違い、トマトベースの煮物に使うと味が生きるというように、違う見方を教えられて勉強になった」などという声が聞かれ、売れる商品づくりに向けた課題が見付かったと喜ぶ出展者もいた。主催者の狙いである生産者と流通業者の出会いは、ある程度成功だったのではないか。
◆「農業と環境」テーマに農業の役割展示
アグリフードにはJA全農も出展しており、商品紹介のブースが多いなか「農業と環境」をテーマに、SR推進事務局が行っている『田んぼの生きもの調査』の紹介パネルなどを展示した。農業用水路や田んぼなどは、農業生産の場であるとともに、多くの生きもの達の生息場所にもなっており、豊かな生態系は田んぼで米づくりが営まれることによって成り立っている。田んぼの生きものを調べることは、環境がどの程度守られているかの指標となる。
同事務局長の原耕造氏は、「価格が安い、安全である、品質が良いなどが我々が食品を選ぶ場合の選択条件となっているが、農業と我々の生活全般に大きな影響を及ぼす地球環境の問題が、食品を選択する条件から抜けている」と、食品選択条件には環境の問題も考えるべきだと語る。また、「農業が環境を守っているという側面を『農業と環境』という新しい視点から問いかけたいとの思いで、今回出展することにした」と、出展した理由を説明した。
今年3月に行われた農水省の「食料品消費モニター調査」によれば、無洗米や有機栽培米など付加価値のついた米を食べる理由として、「おいしいから」「健康に良いから」などを上げる人が多く、「環境にやさしいから」と答えた人は各年代とも1割以下であった。原事務局長が強調するように、食品を選択する場合、環境の問題をもっと多くの人に考えてもらいたいとの思いが全農の展示に表れていた。
ブースの一画には、全農と連携して『田んぼの生きもの調査』などを行っている(財)日本野鳥の会、日本湿地ネットワークのコーナーや、生きもの調査の受け入れJAなどが環境に配慮した農業を進めているといった紹介パネルを展示していた。イラストや写真を使ったパネルは分かりやすく、多くの人が感心した様子で熱心に見入っていた。
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(左)環境を守る農業の役割を展示する全農のブース・(右)会場風景 |
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