JA全農大消費地販売推進部(販推部)は、全農直販事業の主要な取引先である生協の動向などについて、本所や県本部などの直販事業担当者が学習する「生協研究会」を毎年開催しているが、9月13日に本年度の研究会を、東京・虎ノ門パストラルで開催した。
今年は、「日本生協連の2010年ビジョンの具体化と商品事業戦略について」および「全農グループに求められる課題について」をテーマに、山下俊史日本生協連副会長が講演した。
山下氏はこのなかで、消費者からみた日本農業の3つの危機として、まず、「信頼関係構築への危機〜主体的問題解決への疑問」をあげ、鶏肉偽装事件や秋田県本部の問題などで、子会社や消費者に責任転嫁して「問題から逃げていないか」と指摘。主体的に問題をとらえ抜本的改革をしないと信頼関係を構築できないと語った。
二つ目の危機として、農地の荒廃や担い手の崩壊により「農業現場での危機」が進んでいることをあげた。
三つめとして、ICA声明やJA綱領をあげ、「これらの理念はどこにいったのか。棚ざらしにされていないか」と指摘し「理念実現への危機〜お題目としての理念への懸念」をあげ、「このままでは、日本農業が滅びてしまう」。生協組合員・消費者のために、全農はパートナーであり、「改革の主体者としてのJA・全農の役割発揮」に期待すると語った。
また昨年、山下氏が責任者としてまとめた「日本農業への提言」について、同じICAの精神に立脚した組織なので議論し互いに切磋琢磨して「信頼関係を築きたいと思い」JA全中にも届けたが、「何の反応もなく、寂しい思いをした」とも語った。
研究会では、最近の流通業界の動向や生協の事業概況が報告され、さらに、この9月1日から本格的に業務を開始したJA全農ミートフーズ(株)の岩佐肇三社長とJA全農成果センター(株)の岩城晴哉社長が新会社の事業方針などを報告した。
研究会には、各県本部や本所の直販事業担当者、関連会社担当者など約80名が参加した。
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