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(左)挨拶する成清常務・(右)最優秀賞で表彰される松本千秀氏夫妻
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全農酪農経営体験発表会が9月15日、JAホールで開催された。この発表会は県連等から推薦された優秀な酪農経営者を選定表彰し、経営内容などを広く関係者に紹介し、酪農経営の安定に役立てたいとの願いから開かれているもので、今年で24回目を迎えた。
全農の成清一臣常務は挨拶で、「牛乳の消費量はここ数年減少傾向で推移し、酪農経営を取り巻く状況は厳しい。酪農関係団体や行政などが一体となって消費拡大を呼びかけているが、なかなか消費が伸びないのが現実です。しかし、今日発表する5組の酪農家のみなさんの経営やその努力を聞くと多少は気持ちが晴れるのでは」と、牛乳の消費が低迷しているなかで、意欲的に酪農経営に取り組んでいる5組の発表に期待すると述べた。そして、常務個人の牛乳消費拡大策として以前テレビで見た即席ラーメンを作る時に、「水の代わりに牛乳を使う」方法を紹介し、実際に食べた経験から美味しかったのでみなさんも試してはと勧めた。
発表は、「人と牛のゆとりある酪農経営の実現をめざして」住田益三(島根県)、「“一期一会”エンジョイ酪農人生」小池佐代子(福島県)、「家族・地域に支えられた私の経営」横田敏男(北海道)、「山間地酪農を支える3代目」大畑良彦、「恵まれた草地基盤を有効活用し人との交流を大切にした酪農経営」松本千秀の5名。5名の発表者は図表やスライドを使いながら、各自の酪農経営の体験を分かりやすく語った。
横田敏男さんを除いては“家族協定”を結び、個人の時間をそれぞれが持つなどゆとりある経営をめざしている。また、5名の1頭当たりの平均乳量が8813Kg/年で、乳牛の能力一杯まで引き出さずゆとりを持った飼育をしている。また、全員に後継者がいて、今後安定的な発展が期待できる。しかし、課題としては平均所得が年1159万円、1人あたりでは約400万円とやや少ないこと、生産原価の平均が86.2円と人によっては乳価よりも原価が高いという例も見られるなど、効率性の面で難がある傾向が見られた。経営の効率を高めながら、ゆとりを持って安定的な経営を続けていくことができるか、今後の課題だ。
▽収益性は高いか、▽財務の健全性、▽経営の発展性、▽技術水準、▽生活との調和、▽地域の酪農振興に寄与しているか、などの審査基準を検討し、最優秀賞には飼料を自給生産し、平均乳量9000Kg、原価77円/Kg、など経営の効率性が評価され松本千秀氏が選ばれ、他の4名が優秀賞、また、特別賞には消費者等との交流で生産現場からの情報を発信し続けている小池佐代子さんが選ばれた。
発表会終了後の懇親会では、冒頭に成清常務が提案した「水の変わりに牛乳を使う」ラーメンが急遽出され、試食した参加者からは「なかなか美味し」「広く普及させよう」などの声があった。
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