(独)農業・食品産業技術総合研究機構の果樹研究所は、渋皮が簡単にむける画期的なニホングリの新品種の育成に成功したと、10月4日発表した。
日本の栗の栽培品種のほとんどを占めるニホングリは、輸入物のチュウゴクグリと比べて果肉のやわらかさや果実の大きさなどでまさるが、渋皮がむきにくいのが欠点。
手間がかかることが家庭での消費低迷の一因になっており、和洋菓子の材料としても、歩留まりの悪さもあって、加工コストが上昇している。
これまでチュウゴクグリとニホングリの雑種の育成などが行われたが、成功した例はなかった。また、渋皮を取り除く方法についても、簡単で実用的な方法は開発されていない。
同研究所が、早生で果実の大きなニホングリ系統の「550-40」と早生の主力品種である「丹沢」を交雑して得た実生から育成・選抜した新品種は、果実が30.5gと大きく、渋皮もむきやすいという。方法は簡単で、電子レンジ(700W)で2分間加熱するだけ(=写真)。
甘味はやや多く、香りも強いといいことずくめだ。
「丹沢」の子であり、渋皮がポロンとむけること、広く愛されて欲しいとの願いを込めて、農水省の新品種を命名・登録する検討会で「ぽろたん」と名付けられた。クリ農林8号として登録されることも了承され、現在品種登録出願中。
今後の普及の見通しについて、同研究所は「5〜6年後から商品として流通し、10年後には安定供給されるだろう」と話している。
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電子レンジ(700W)で2分間加熱後の果実
岐阜1号はチュウゴクグリ、筑波はニホングリ |
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