農業協同組合新聞 JACOM
   
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“地域”キーワードにJAの役割強調 特別決議にも実践うたう
−第24回JA全国大会 (10/11)


 『食と農を結ぶ活力あるJAづくり−「農」と「共生」の世紀を実現するために−』をメインテーマに第24回JA全国大会が10月11日、NHKホールにJA代表者など全国から約2500名を集めて開催された。
 今大会は、19年度から経営所得安定対策が実施されるなど農政の節目にあたる大会で、担い手を中心とした地域農業振興、安心して暮らせる豊かな地域社会の実現、組合員組織の活性化など経済事業改革と並んでJA組織にとって緊急を要する課題が提案された。また、特別決議として、▽大会決議の実践、▽来年の参議院選挙に向けた農政意思結集、の2つが提案され、大会議案と合わせて採択され、今後3年間の活動方針を決めた。
 前日の分科会も含め今大会では担い手を中心に地域農業を守る取組みを進めるなか、JAが地域の中でどのような役割が果たせるのかを今後の課題とする発言が目についた

第24回JA全国大会

◆国民に信頼されるJAグループを

 冒頭、来賓の松岡利勝農水大臣は、JAグループが全国大会を開催することは、国民の多くが農業や農村への理解を深めることに役立つと強調。そして、来年度から始まる経営所得安定対策などに触れ、「農水省は現在改革に向け、全省一丸となって取り組んでいる。安倍内閣は『再チャレンジ』を掲げているが、農業こそ再チャレンジすることが可能かつ相応しい産業。本大会の討議を踏まえ、真に農家組合員の利益を守るため、改革を通じて広く国民に信頼されるJAグループであることを望みます」と挨拶した。最後に、「来年の参議院選挙に出馬する山田俊男前全中専務を全力で支えて行く」と、JAグループ組織推薦候補の山田俊男氏への支援を呼びかけた。

◆地域農業、地域社会の核としてのJA

 宮田勇全中会長は、「国内外に多くの困難な課題を抱えるなか、JAにとっても正組合員の減少、准組合員の増加など質的変化にどう対応するか、規制緩和のなかで農業や農村市場に参入してくる企業との競争激化をいかに乗り切るか、などの問題が山積している」と指摘。一方、「農村のよさを再認識する動きも高まっている。この芽をしっかり育てていく必要がある」と強調し、▽地域農業振興と安全・安心な農畜産物の提供、▽豊かな地域社会の実現と地域貢献、▽組合員加入促進と組合員組織の活性化、▽競争力ある事業の展開と万全な経営の確立、の4つを柱を軸に、「地域の人々から選ばれるJA,広く国民から支持されるJAをめざして、JAのリーダーは地域のために何をなすべきか常に反復してほしい」、などと挨拶した。
 また、安倍晋三総理大臣からの「農業は新世紀にふさわしい戦略産業。これからの農業を担う人を支援し、高品質な日本の農産物を世界中に売っていく、そんな夢のある農政を展開していきたい」とのメッセージが、下村博文内閣官房副長官によって読み上げられた。
 大会には農水省幹部、農林関係国会議員、友誼団体など多数の来賓が駆けつけた。日生協小倉修悟会長は、「協同の輪を広げ、持続可能な社会をめざし、生産者と消費者の相互理解が、社会を発展させる方向につながる」と、共に手を携えて進もうと励ました。
 海外からは、韓国農協中央会鄭大根(チョンデグン)会長、国際協同組合同盟(TCA)のイバノ・バルベリーニ会長のメッセージが届いた。

◆改めて“実践”の必要性を強調

 向井地全中専務は議案提案で、「実践することが大切です。言いっぱなしではいけない」と、提案されている4つの柱について、「必ずやり抜こう」と強調した。続いて、山形県JA山形おきたま経営役員若林英毅氏、新潟県JAえちご上越経営管理委員内山見與子氏、広島県JA三次組合長村上光雄氏、熊本県JA菊池組合長上村幸男氏の4名が意見表明で、自らの実践と課題を提起した(別掲)。
 3年後の第25回大会に向け、決議の確実な実践が強く求められることになる。

若林英毅氏
 「担い手づくりは、大規模農家や法人支援を中心とし、2001年に『ニューファーマーズ・プロジェクト』を立ち上げた。JA自らが22法人を設立し、うち2法人はJAが50%以上出資した子会社だ。経営所得安定対策を担い手づくりの好機と捉え、座談会等を集中して開き、今夏には5000人規模の集落営農進発式を行い、大いに盛り上がった。経理の一元化や運転資金融資制度などで支援を行い、地域農業を発展させたい」。

内山見與子氏
 「農村にも輸入農産物やファストフード店が目立つようになり、子どもたちが農作業を見たり手伝う機会も減り、農業への関心も薄れている。そのため、JAでは地域を巻き込んだ運動として安全・安全な食品を自ら確認するなど、農業への理解を深める活動に取り組んでいる。そのような取組みのなかから、地域の農業を大事にし守っていこうという気持ちが生まれてきたことが成果です」。

村上光雄氏
 「合併により経済事業改革は進んだが、組織はガタガタになり正組合員数は合併時に比べ14%も減少したため、運動方針で組合員拡大を最重点課題とし、JAあげて取組んだ。また、組合員へのメリット還元については、経済的なメリットだけを強調せず、組合員であることのメリットも伝える必要がある。総合力を発揮できるのがJA事業の強みだと確信している。その意味で、事業ごとに縦割りで存在する全国連は、連携を進めるべきだ」。

上村幸男氏
 「合併時に、支所の統廃合などがスムーズに運ばす、支所間格差生じ、JA全体の経営にも影響を与えるようになった。改革を進めるため、第三者による委員会を立ち上げ、常勤役員の選出地域から改革を進めていった。改革を進めたことで、堅実な経営を基盤にJAに活力を取り戻す事ができた。直売所『きくちのまんま』もスタートした。経営基盤が揺らぐと、すべてがだめになる。目標と夢をもって事業に取組みたい」。


○第24回JA全国大会決議実践に関する特別決議【抜粋】
 第24回JA全国大会決議は、農業振興と地域社会への貢献について、JAグループが積極的に役割を果たすための取組み方向を示すものである。われわれJAグループは、重点取組み事項を中心に、到達目標を明確にし、決議実践に向けてグループ全体が一体となって取組むこととする。
○農政意思結集にかかる特別決議【抜粋】
 課題山積の今こそ、JA・都道府県段階での農政運動組織の強化をはかり、全国の農業者が心を一つにし、我々の意思を的確に農政に反映できる人物を必ず政治の場に送り出すべく、来る参議院通常選挙に向けて、農政運動組織との連携のもと、意思結集の取り組みを組織の総力をあげて展開していくこととする。


(2006.10.17)


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