JA全農・農林中央金庫・共栄火災海上保険は、規模拡大意向がある畜産農家へ迅速に資金が提供できる「系統素畜導入資金対応措置」を11月1日に創設した。
この制度は、畜産農家に規模拡大の意欲と能力があっても、与信限度や担保の面でJAからの融資には限界がある場合、JAグループあげて追加的な資金対応ができるようにしたもの。
対象畜種は、繁殖牛・豚、肥育牛・豚、乳用牛。対象農家は、JA全農が今年4月から4年間の期間でスタートさせた畜産基幹産地登録制度に登録された産地の農家のほか、経営能力、飼育成績が優秀であるとしてJAや県本部などの推薦を受けた農家や法人。全農全国本部や県信連・農林中金、共栄火災が審査して選定する。
仕組みは、JAは素畜を家畜市場などから購入するが、それを対象農家に所有権留保付きで割賦販売するというもの。JAはこの割賦販売債券を農中信託銀行を通じて県信連・農林中金に譲渡する。その際には、債権譲渡代金を受領するため、その後にJAには資金負担が生まれない。対象畜産農家に対しては、全農県本部などと連携して飼養管理・経営管理などの指導を行うほか、素畜の棚卸確認、割賦債権の回収業務の代行業務のみで済む。
一方、この仕組みを利用した農家は、割賦販売契約によって生じる割賦債権の50%について、共栄火災と保証保険契約を締結する。
経済事業、信用事業、保険事業それぞれの機能を発揮したJAグループあげた取り組みで、農家にとっては家畜を実質的な担保として、保証保険を活用することで、不動産担保や第3者による個人保証なしで資金調達が可能になる。また、JAにとっては資金対応に限界が生まれても、組合員に素畜の供給を行うことができるメリットがある。
資金対応条件については料率は概ね3%水準(割賦定数料、保証保険料含む)だが、実際には畜種や返済期間、返済方法で変動する。限度額と返済期間などは、たとえば肥育牛の場合なら、限度額1億円、期間24か月で元金返済は販売時一括、利払いは毎月1回などが原則となっている。
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