JA全中は11月9日の理事会で、農協法にもとづき中央会の指導方針を示すものである「組合の組織、事業および経営の指導に関する基本方針」(基本方針)の改定素案を決めた。
改定基本方針の柱と現行との比較は次の通り
第1節 基本方針の改定にあたって(新設)
第2節 課題別の指導に関する基本的方向と実施方法
1 JAの総合性発揮に向けた連合組織間の連携強化(新設)
2 地域農業の担い手づくり・支援と生産履歴記帳の徹底、▽地域農業の担い手づくり(一部修正)▽集落営農組織や大規模・法人経営など担い手への対応の強化(新設)▽農産物の適切な生産管理と生産履歴記帳の徹底(新設)
3 経済事業改革(一部修正)
4 JA経営の改善と機能発揮、▽JAにおける内部統制の整備対策(新設)▽経営不振JA対策(一部修正)▽JA合併の推進(一部修正)
第3節 その他
◆21年度末までに米5割・麦大豆10割を担い手に
「JAの総合性発揮に向けた連合組織間の連携強化」では、中央会は「基本方針の課題目標の達成とJAの各事業・活動にかかわる高度な機能発揮、経営・財務の改善・充実」に向けて、連合会組織と連携して「JAの総合力発揮に向け注力する」。また「多様なJAの存在を念頭に置き、各JAが自主性・自立性を確保し、かつ、総合性を発揮する」ために、「JA自らが将来到達したいと考える姿(ビジョン)を策定し、その実現を図ることができるよう注力する」。
「地域農業の担い手づくり」では、平成21年度末を目途に、全国ベース作付面積で、米5割、麦・大豆10割を「集落営農組織など品目横断的経営安定対策の対象となる担い手でカバーする」ことを目標として掲げた。そのために、地域農業戦略(地域水田農業ビジョン)の一環として、JA段階を中心に「担い手づくり戦略」を策定して取り組みを進める。
「担い手対応の強化」では、県域マスタープランに基づいて個別対応する担い手を定め「JA・全農・経済連に担い手対応専任体制を整備し、同プランに基づく担い手への営農・販売・経営・経営管理等の支援を実践する」ことを目標として掲げている。
また、信連・農林中金は担い手経営のデータ分析などに基づいて「的確な金融サービス提案」、JA共済連は「担い手の保障ニーズに応じた共済仕組みの開発や農業リスクの情報提供」などを通じて、「JAの担い手に対する経営支援をサポートする」としている。
◆すべての農畜産物で履歴記帳を実施
「農産物の適切な生産管理と生産履歴記帳の徹底」では、21年度末を目途に、「販売するすべての農畜産物を生産履歴記帳の裏づけのあるものとする」ことを目標として掲げた。
「経済事業改革」では、▽営農指導機能の強化▽消費者接近と農家手取り向上のための販売事業の見直し▽生産者とりわけ担い手に実感される生産資材価格の引下げ▽拠点型事業等の収支改善と競争力強化▽CE等共同利用施設の運営改善の5項目について、改革本部が年次別の行動計画を策定しその進捗管理を実施することで改革の促進をはかるとしている。
この基本方針の改定素案は11月28〜30日の地区別代議員会に提出された後、会長会議などの審議を経て、来年3月8日のJA全中通常総会で決定される予定となっている。
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