低コスト間伐を普及するためのモデル森林組合づくりを目的に農林中金は我が国では初めての「J−フォレスター(日本版林業管理技術者)養成研修」を11月6日から5日間、京都府南丹市内で開いた。
森林が荒廃する中で森林所有者の林業意欲を喚起するには木材販売の利益還元が必要。そのためには効率的な作業システムによる低コスト木材生産が求められ、いくつかの森林組合が「提案型集約化施業」に取り組んでいる。
中でも南丹市の日吉町森林組合は小規模所有者たちに提案して林地を団地化。さらに作業用の道路網を密度濃く開設し、高性能の林業機械を駆使するというシステムを約10年前から構築してきた。
これをベースに、各地域それぞれの課題に対応した実行計画を立てて森林整備を進めてもらおうというのが研修のねらい。
農林中金は社会貢献活動の一環として平成17年度から森林再生基金を設立し、荒廃林再生の事業を支援してきたが、その中で施業の集約化を課題と捉え、今回の研修という展開になった。
受講者は県と県森連から推薦された全国12森林組合の職員及び森連と県市の職員ら合計約50人。
◆高性能機械の実習も
長丁場の研修だったが、受講者はたゆまず意欲的に学習。自分たちの報告や発表も活発だった。研修成果を持ち帰って、それぞれの県下の森林組合のお手本となるような今後の活動が期待されている。
研修テーマは▽林業再生に果たす森林組合の役割▽作業システム改善の手法▽将来ビジョンを踏まえた選木方法▽やる気を引き出す人事管理▽コスト管理などと総合的だった。
講師は日吉町森林組合の湯浅勲理事をはじめ学者や専門家など多彩な顔触れ。講義だけでなく日吉町森林組合の作業現場で高性能機械を操作する実習や選木の実技指導などもあった。
閉会あいさつでは農林中金の宮園雅敬常務が「熱いうちに(研修成果を)地域に持ち帰って実践につないでいただくように」と期待を表明した。
なお米国やドイツではフォレスターという資格者でないと森林計画を作ることができない。日本でも林業管理技術者の位置づけを高めたいとの思いから、この言葉を研修に使ったという。
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(左)日吉町森林組合の作業現場で林業機械の操作を教わる受講者たち
(右)宮園農林中金常務 |
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