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生産者と消費者が同じ目線でつき合うことが必要
−食・農・環フォーラム  (11/28)


農業・農村について語る
農業・農村について語る

  「日本農業発展への取組みと消費者との交流」をテーマとした『食・農・環フォーラム』主催の討論会が11月28日、ルポール麹町で開催された。この討論会は、FTA,EPAなどによって自由貿易が促進されようとしていることや、誰が担い手になるのかなどといった困難な課題を抱えている日本農業について、生産者だけの問題としてではなく、消費者も含めた広く国民の問題として考えていこうという趣旨で企画され、地域農業発展のためには何が必要か、生産者・消費者の交流、の2つの問題に絞って話しあわれた。
 農業の現場を多く歩いてきた藤田和芳大地を守る会会長は、「あまり知られていないが今、農業の現場には自らが望んで参入してきた多くの若者が働いている。高齢化や後継者不足も進んでいる一方で若い人も確実に増えている」と、若い人の中で農業への感心が高まっており、今後の日本農業について考えるときに明るい材料だと語った。若者の参入と同時に 農村に求められるのは、工場誘致のように外からの刺激で村を変えるのではなく、「地元のものを大切にし、それをどう生かすかを考えることだと思う」と、合瀬宏毅NHK解説委員はナンバーワンよりもオンリーワンが、今後のめざすべき道だと語った。

◆交流で生産と消費の距離を縮める

 生産者と消費者の問題を考えるときに大切なことは、売る側と買う側といった一方的な関係ではなく、「地域の仲間として同じ目線でつき合うことが必要」と、JA兵庫六甲営農経済事業部専門管理職の本野一郎氏。同JAでは農産物直売所を販売とともに、地域の交流拠点と位置づけ、地域の人々となんでも言い合える関係づくりに力を入れている。なんでも言い合える関係を入口に、農業の現場で農作業の厳しさや楽しさなどを身近に感じてもらい、「生産と消費の現場の距離を縮める取組みを進めている」という。一方、合瀬宏毅氏は、「いま、農業体験ツアーなどが盛んで、土日などには多くの家族連れが農村を訪れる。しかし、農業体験はレジャーで、農業や農村そのものに興味を持っているとはいえない」と、消費者が目を向けているのは食や自然であって、農業や農村に対する感心は薄く、今後どう感心を高めていくかが課題だとの認識を示した。
 また、「消費者から直に声を聞く機会は意外とない。産地交流などで消費者と話すことが、生産現場では非常に参考になる」と、(有)アクト農場取締役の関美恵子氏は、生産者の立場から消費者との交流の大切さを語った。
 「生産者と消費者が直接交流することができる範囲は限られているが、今日のようにその経験を披露することで、我々知識は積み重ねられる。これからも互いが必要としあうような関係をづくりをめざそう」と、司会役の服部信司東洋大学経済学部教授は討論会をまとめた。

(2006.12.1)



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